モトリーフール米国本社 – 2025年8月11日 投稿記事より
量子コンピューティングはクラウド・コンピューティングの次の大きな成長分野
決算シーズンの電話会議では、主要企業の最高経営責任者が新規事業や革新技術の進捗状況について重要な発言をし、その発言が他の企業の株価や業績に波及する場合があります。
例えば、マイクロソフト[MSFT]のサティア・ナデラCEOは2025年6月30日に開催されたマイクロソフトの2025年度第4四半期の決算電話会議において「クラウド事業における次の大きな推進力は量子コンピューティングだと考えており、私は同分野でのマイクロソフトの進展に大きな期待を寄せています」と語りました。
この発言に続いて、同社が最近立ち上げた信頼できる論理キュービット(エラーを検出し訂正する仕組み)を備えたデバイスである「レベル2」の量子コンピューターについても紹介しました。また、マイクロソフトは量子コンピューティング技術を追求しつつ、この分野の別の事業も支援しています。マイクロソフトは量子コンピューティングの商業化に自信を持っており、この分野の発展が自社の事業成長、そしてパートナー企業の拡大にもつながるとみています。
マイクロソフトは、クラウド・コンピューティング分野で、長い間、中立的な立場を維持してきました。そのため、自社プラットフォームでは、パートナー企業以外の最先端のAIモデルも提供しています。しかし、マイクロソフトは自社で量子コンピューティングを開発するだけではなく、イオンキュー[IONQ]の量子コンピューティング・プラットフォームも提供しています。
この点はイオンキューのような企業にとって重要です。というのも、主要なクラウド企業3社が独自の量子コンピューティング技術を開発しようとしていることは、参入障壁を下げることにもつながります。しかし、イオンキューは既に自社の量子ハードウエアを、マイクロソフトの「アジュール」、アルファベット[GOOGL]の「グーグル・クラウド」、アマゾン・ドットコム[AMZN]の「アマゾン・ウェブ・サービス」(AWS)で利用可能にしています。
イオンキュー[IONQ]の優位性と独自戦略
量子コンピューティングがクラウド・コンピューティングにおける次の大きな潮流となり、イオンキューが他社に先駆けて成果を出せれば人工知能(AI)半導体におけるエヌビディア[NVDA]のような地位を築ける可能性があります。
イオンキューには競合他社に比べて幾つかの優位性を持っているため、筆者はイオンキューが他社との競争に勝つ可能性があると考えています。
ほとんどの量子コンピューティング企業は「超伝導技術」を採用しています。これは粒子を絶対零度近くまで冷却する必要があり、非常に高コストです。一方、イオンキューの「イオン・トラップ方式」は、電磁場を用いてイオンを捕獲・保持するため常温で行うことが可能であり、冷却する必要がありません。加えてこの方式では、システム内のすべての量子ビットを相互接続できるため、エラー補正が向上する可能性があります。現在、イオンキューは業界で先行しており、1量子ビットと2量子ビットの忠実度(計算の精度を測る指標)の両方で世界最高を記録しています。
イオンキューは、2030年までに200万キュービットのデバイスを構築する計画を掲げており、これは、商業化に最低限必要と考えられる、100万キュービットの2倍に当たります。
もしイオンキューが量子コンピューティング開発競争に勝利すれば、巨大な市場に参入するチャンスがあります。経営陣は、2035年までに参入可能な市場規模は約870億ドルに達すると予想しています。
筆者は、イオンキューは投資家にとって、現在投資可能な量子コンピューティング専業銘柄の中でも魅力的な投資対象の一つと考えています。しかし、依然としてイオンキューへの投資には複数のリスクは伴うでしょう。そのため、投資する場合は、ポートフォリオ全体の1%を上限としたほうがよいと考えられます。このようにしておけば株価が下落した場合損失は限定的となります。もし企業が大きく成長した場合には、1%で利益を享受できるでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Keithen Druryはアルファベット、アマゾン・ドットコム、エヌビディアの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアルファベット、アマゾン・ドットコム、マイクロソフト、エヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は次のオプションを推奨しています。マイクロソフト2026年1月限月395ドル・コールオプションのロング、マイクロソフト2026年1月限月405ドル・コールオプションのショート。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。
