東京市場まとめ
1.概況
前日の米国市場でハイテク株が高かった流れを引き継ぎ、日経平均は34円高の39,796円と小幅に反発して寄付きました。しかし、日米関税交渉の不透明感や、ドル円相場が前日に比べて円高・ドル安で推移していることが重荷となり、早々に下げに転じると、9時27分に94円安の39,667円をつけて本日の安値を更新しました。その後も、前日終値である39,762円を挟んで一進一退の推移となり、29円安の39,732円で前引けとなりました。後場も基調は変わらず、方向感に欠ける展開が続きました。
後場寄りは前引けからは上昇して始まり、そのまま39,800円台まで上げたものの、1時間ほどで再び下げに転じました。今晩発表の6月の米雇用統計を前に、様子見ムードも強く、積極的な売買は控えられるもクロージングにあたって買いが優勢となり最終的に23円高の39,785円で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が3日続落し、0.6%安で取引を終えています。
2.個別銘柄等
良品計画(7453)は3.7%安の6,674円をつけて大幅続落となりました。2日に発表した6月の国内既存店(オンラインストア含む)の売上高は、前年同月比7.1%増となりましたが、前月5月の12.2%増からは伸び率が鈍化しました。さらに、前日には株式分割考慮後の上場来高値を更新していたこともあり、いったんの利益確定売りが優勢となりました。
日本製鉄(5401)は4.4%高の2,850円をつけて続伸となりました。中国の国内需要低迷を受けて安価な中国産鋼材が流入し、鋼材市況が低迷する中、鉄鋼株は足元で総じて軟調に推移していました。しかし、米国では早期の利下げ観測が浮上し、設備投資が国内外で上向くとの見方も出始めたことで、出遅れ感に着目した見直し買いが入りました。
ニトリホールディングス(9843)は2.2%安の13,600円をつけて反落となりました。2日に発表した6月の月次国内売上高で、既存店売上高が前年同月比6.4%減となり、2ヶ月連続で前年同月実績を下回ったことが嫌気され、売りが出ました。
選挙の投開票機器などを販売するムサシ(7521)は1.8%高の1,800円をつけて3日続伸となりました。過去の選挙時には、同社の投票用紙の読み取り分類機器や投開票を管理するシステムなどの需要が大きく伸びたとされており、本日3日に公示された第27回参院選が業績に寄与するとの思惑から買いが入りました。
ディスカウントストアのトライアルホールディングス(141A)は7.2%高の2,528円をつけて大幅反発となりました。2日朝に大手スーパーの西友の買収が完了したと発表し、前日は株価が伸び悩んでいましたが、今日は改めて今後の事業展開への期待から買いが優勢となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
日米の関税交渉の不透明感に加え、今晩に控える6月の米雇用統計を前に様子見ムードが強く、日経平均は後半にかけて軟調に推移しました。明日の材料は米雇用統計がメインとなり、労働環境の悪化が示されるかどうかが注目されます。前日に発表された米ADP雇用者数は市場予想を大幅に下回り、3.3万人の減少が示されました。
また、今晩発表される失業率は前回5月から0.1%ポイント上昇の4.3%が見込まれており、緩やかながらも労働市場の冷え込みが予想されています。FRB(米連邦準備制度理事会)はインフレ懸念から利下げの先送りを表明していますが、経済の減速が示されれば、スタンスの変更を余儀なくされる可能性があります。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)