6月のTOPIXの月足ローソク足は、5月に続いて陽線を形成

2025年6月のTOPIX(東証株価指数)の月足ローソク足は、5月に続いて陽線を形成しました。4月の「極端に長い下ヒゲ(下影)」は2024年8月の急落時と同水準で生じたものであり、チャート上では2度の長い下ヒゲによる「2本の足」が形成され、下値が固まった可能性が高いと判断できます(図表1)。

【図表1】TOPIX5年(月足)
出所:マネックス証券ウェブサイト

この足場固めの好影響が6月相場までの意外高の背景です。今後、下ヒゲの長さが上値余地として倍返しで生じる可能性が高く、中長期の目線では上昇基調が続く可能性が高まった局面です。

4月の急落から最も上昇した業種は「非鉄(主に電線株)」

日本株は業種を問わず、4月の急落から立ち直り、戻り歩調を強める展開となっています。関税ショックが生じた4月の急落後の安値から下落した業種はありません。最も上昇した業種は「非鉄」です。「非鉄(主に電線株)」とした方が物色された業態が分かりやすいかもしれません。次は「機械」で「機械(防衛関連株)」とする方が分かりやすく、それに続く「その他製品」も「その他製品(主にエンタメ株)」と表現した方が良いでしょう。

上半期を終えた時点で、業種別のパフォーマンスを年初から振り返ると、最も上昇した業種は「その他製品」で、上昇率は32%と圧倒的です。一方、下落したのは11業種もあります。ワースト1位は「精密機器」で、「石油製品」「輸送用機器(主に自動車)」と続きます。「精密機器」や「輸送用機器」といえば、円高に弱い業種です。相場全体を示す指数は上値追いの展開となっていますが、為替市場では依然として円高懸念が拭えません。

物色面から下半期の戦略を練る場合、やはり自動車株は気になるところです。関税の影響や業界再編なども気にしなければいけませんが、値ごろ感や出遅れ感では文句なしの水準で放置されています。取り巻く環境は決して良くはありませんが、日経平均やTOPIXが史上最高値を再び更新することを見越せれば、出直るのは時間の問題でしょう。

2025年7月1日付けの日本経済新聞朝刊には、「日本株高 けん引役交代」と題し、同紙が選定した任天堂(7974)などエンタメ主力銘柄9社の時価総額合計が、自動車主要9銘柄の時価総額合計を逆転したと報じています。確かに、上記のように業種別でみても、その感覚は同じです。ですが、そのような状態はいつまでも続かないでしょう。大抵、こうした記事が出てくるようになると、その流れは再び元の方向に戻っていきます。過去にもそうしたケースが多かったと、筆者の経験上では記憶しています。