現在のファンダメンタルズ:米軍軍事介入後と次期FRB議長の話で米ドル安に
先週(6月23日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 143.753円~148.027円 144.664円
・ユーロ/米ドル:1.14532ドル~1.17534ドル 1.17194ドル
・ユーロ/円: 167.910円~169.806円 169.542円
先週(6月23日週)の米ドル/円:週初の乱高下後は米ドル安の流れが定着
6月20日時点では米軍の介入には時間的猶予があるとみられていたものの、6月21日に米軍が軍事介入を行いイランの核施設を攻撃破壊したとのニュースを受け、先週(6月23日週)の週初は一気に米ドル高の動きから始まりました。6月20日終値は146円近辺でしたが、東京市場から欧州市場昼頃まで米ドル高が進み、米ドル/円は一時148.027円をつけました。NY市場ではボウマンFRB(米連邦準備制度理事会)副議長のハト派発言に加え、トランプ米大統領がイスラエルとイランの間で停戦合意と発言したことで急速な米ドル売りの流れに転じ、146円間近の水準まで「行って来い」の動きを見せました。
その後はリスクオンの動きに戻すとの見方から株式市場は堅調。為替市場はそれまでの米ドル買いの動きに対しての調整から米ドル売りが続き、6月24日には144円台半ばへと続落。6月25日には買い戻しも見られたものの146円には届かず再び下げ基調を強めました。6月26日には次期FRB議長の人選が進んでいるとの話から米金利が低下、144円を割り込み143.753円の週間安値を見ることとなりました。6月27日はそれまでの動きが激しかったこともあり、市場参加者は疲れ気味で週末前のポジション調整程度で144円台半ばでの週末クローズとなりました。
先週は、週初に中東情勢緊迫化から停戦合意と一日で一気に情勢が変わり、その後はパウエルFRB議長の次はハト派議長が誕生するとの見方から更なる米ドル安相場となりました。材料的にはいったん以前の関税問題へと戻る方向です。ただ、6月27日には主要国との協議が難航しているとみられ、関税の猶予期限が9月まで延長されるとの見方も出てきたことから今後どのような話が出てくるのかをしばらくは見守る展開になっていきそうです。
先週(6月23日週)のユーロ/米ドル:2021年9月以来の高値へ
先週(6月23日週)のユーロ/米ドルは、週初早朝こそユーロ売りの動きもみられましたが、その後はほぼ一貫したユーロ買いの流れが続きました。中東情勢が落ち着いたことと、次期FRB議長人選の話による米ドル売りは米ドル/円と同じ流れですが、それに加えユーロ/米ドルはテクニカルに新高値を買っていく動きもあって6月27日には1.17534ドルと2021年9月以来の高値をつけました。
ECB(欧州中央銀行)が金利を2%まで下げてきたことから既にターゲットに到達。しばらくは様子見の流れが続くという見方から、年後半に向け米欧金利差縮小が続きやすくなり、対ユーロでの米ドル売りも続きやすいという見通しが背景にあります。FRBは現在のコンセンサスでは9月から利下げに動き、年末時点では3回利下げ(3.5~3.75%)を予想する向きが増えてきています。週末時点では2回よりも3回を見込む向きの方が多数派となっていました。
テクニカルと金利差の動きが当面はユーロ/米ドル買いで動きやすい流れを作っています。
米ドル/円チャート(週足)、移動平均線を上抜けできず
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。

・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャートでは、先週一時的に20週移動平均線を上回る展開を見せましたが、6月23日NY以降の米ドル売りの流れで週末終値は移動平均線の下となりました(図表1)。長期テクニカルでは米ドル安トレンド継続中ということになります。方向転換には2週連続での上抜けが必要なため、しばらくは米ドル安視点で見ていくことは変わりません。
また現在効いていそうなサポートラインとレジスタンスラインでトライアングル(黄)を引きましたので、このトライアングル内での動きと最終的にどちらに抜けるのかを観察していきます。
日足チャートをご覧ください。
米ドル/円チャート(日足)、6月26日にデッド・クロス
短期的な判断は日足で行います。

・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
日足チャートにも週足チャートで引いたトライアングルを示しました。長期トレンドが米ドル安のため、距離的にも下抜けの可能性の方が高そうです。2本の移動平均線も6月26日にデッド・クロスとなり短期的にも米ドル安に動きやすい流れにあります。
短期のフィボナッチ・リトレースメント(赤)は5月27日安値と6月23日高値との押しに変えましたが、現状は76.4%押し143.509円をターゲットにする展開です。サポートラインとも近い水準にあることから今週はサポートラインを試すかどうかを見ていきましょう。
ユーロ/米ドルは買いトレンド継続、逆張りには注意のスタンスで
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。


週足チャート(図表3)は移動平均線を上回った状態を維持し、さらに上昇ペースがまったく弱まりません。米欧金利差に対する見方とテクニカルに2021年9月以来の高値圏に上がってきたことで新規仕掛けのユーロ買いが出ている様子です。
日足チャート(図表4)でも6月23日にゴールデン・クロスに転じて以降、ユーロ買いが強まっていることを確認できます。引き続き3月27日安値を起点とする上昇チャンネル(青)内でのチャンネル上限を試し続ける流れにあり、フィボナッチ・エクスパンションのターゲットでは100%エクスパンション1.19050ドルをも視野に入れる展開になってきたと見た方が良さそうです。本当に強い流れが続く時には変な値頃感を挟まずに素直に流れについていく方が良いことも多いため、逆張りには注意のスタンスでいきましょう。
ユーロ/円の長期トレンドはユーロ買い継続、当面は週足ターゲットへの到達を見る流れ
次にユーロ/円のチャートです。

ユーロ/円週足では移動平均線よりも上での動きも、年初来安値からのサポートラインとそれに平行に引いたラインとの平行上昇チャンネル(黄)の中での上昇も継続中です。2024年高値と安値の61.8%戻しとなる167.393円に到達後もユーロ/米ドルの上昇が続いていることで、次のターゲット76.4%戻しの170.462円をターゲットとする流れになってきたようです(図表5)。

日足チャートでは5月26日のゴールデン・クロス状態が続いています。既に1ヶ月以上も買い状態となっているため、そろそろ注意も必要ですが、本当に強い時の流れにありそうですから、値頃感での逆張りは禁物です。いいところで買えた人はデッド・クロスが出るまで利乗せが正解でしょう。短期的な上昇チャンネル(青)も効いているようで、4月7日安値を起点としたフィボナッチ・エクスパンションの127.2%エクスパンションにも到達したことから次は161.8%エクスパンションの172.129をターゲットとする状況です。ただ週足でのターゲットは170円台半ばなので、当面は週足ターゲットへの到達を見ていくこととなります。
それでは今週も良いトレードを!