東京市場まとめ

1.概況

日経平均は281円高の39,866円で寄付きました。朝方から買いが優勢でのスタートとなり、約5ヶ月ぶりとなる4万円台をつけると、その後も堅調な推移となりました。海外短期筋による株価指数先物への買いが断続的に入り、上げ幅を拡大した日経平均は1月7日につけた年初来高値(40,083円)を更新する630円高の40,215円で前引けとなりました。

後場も勢いを落とすことなく、12時42分に683円高の40,267円をつけ本日の高値を更新しました。高値圏で推移となった日経平均は、今晩の5月分の米PCE価格指数の発表を前に、インフレ動向の内容を見極めたいといった雰囲気からやや伸び悩みましたが最終的に566円高の40,150円で大引けとなりました。

新興市場では東証グロース250指数が続落、1.0%安で取引を終えました。

2.個別銘柄等

横浜ゴム(5101)は一時、配当落ちを考慮した基準値ベースで8.6%高の3,923円をつけ、年初来高値を更新しました。国内証券が同社の投資判断を3段階で真ん中の「ニュートラル(中立)」から最上位の「バイ(買い)」に、また目標株価は従来の4,100円から前日終値を3割強上回る4,800円に引き上げたことで、これを材料視した買いが集まりました。

ニデック(6594)は3.8%安の2,778円をつけ続落となりました。26日、2025年3月期(前期)の有価証券報告書の提出期限を従来の期限だった6月30日から9月26日へ延長することを関東財務局に申請したと発表し、コーポレートガバナンス(企業統治)体制の不備と受け止めた投資家から売りが出ました。

ソフトバンクグループ(9984)は2.5%高の10,080円をつけ続伸となりました。27日10時から開いた定時株主総会で、孫正義会長兼社長は10年後の同社の姿として「人間を超える『ASI(超知能)』のナンバーワンプラットフォーマーになりたい」と語り、このところ日米とも半導体関連株が上昇基調を強める中、株主総会での発言が買い材料となりました。

くら寿司(2695)は1.7%安の3,535円をつけ反落となりました。日本経済新聞が「中国本土の全店舗を閉店する」と報じ、これを材料視した売りが出ました。同社の中国出店は同業他社から後れをとっていたとされ、また米国と台湾事業に注力するとしているものの、業績拡大につながるとの見方は少なかったことが売り材料となりました。

電子決済サービスのトランザクション・メディア・ネットワークス(5258)は3.4%高の492円をつけ、3日ぶりに反発となりました。27日、発行済み株式総数(自社株を除く)の19.9%にあたる735万2,900株、金額にして35億円を上限とする自社株買いを実施すると発表し、資本効率の改善や積極的な株主還元姿勢を好感した買いが入りました。

VIEW POINT: 明日への視点

日経平均は週間で4.6%高となり、また節目の4万円台を回復して取引を終えました。一方TOPIXは週間で2.5%高と約2%のポイント差があり、日経平均は値がさ株である半導体関連銘柄の上昇が寄与しています。急ピッチでの上昇であることから短期的な過熱感を警戒する声もあり、ポジションには注意を払いたいところです。来週に向けては、今晩発表の5月分の米PCE価格指数に注目が集まります。

今週は週初でウォラーFRB(米連邦準備制度理事会)理事らが利下げを示唆する発言があった一方で、パウエルFRB議長や他FOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーは利下げに慎重な姿勢を示しており、議論を呼ぶインフレ動向の最新データに注目です。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)