現在のファンダメンタルズ:マスク氏の動向も材料に
先週(6月2日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 142.375円~145.089円 144.866円
・ユーロ/米ドル:1.13426ドル~1.14946ドル 1.13927ドル
・ユーロ/円: 162.794円~165.281円 165.047円
先週(6月2日週)の米ドル/円: 米中協議の進展期待によるリスクオンの動き
先週(6月2日週)は、前週末の引け後にトランプ米大統領が鉄鋼・アルミ関税を50%に引き上げると発言したことを嫌気してリスクオフの円買いが先行しました。しかし、株式市場の反応は思いのほか鈍く、週を通して悪材料に鈍感な動きになっていました。
一方、米ドル/円は6月3日の東京朝方まで下げ続け、142.375円の週間安値をつける動きとなりました。その後NY市場では雇用関連指標のひとつJOLTSが予想よりも強かったことから米ドル買いの動きが強まり、6月4日NY市場までは144円を挟んで底堅い値動きとなっていました。しかしNY市場に入り発表されたADP全国雇用者数とISM非製造業が予想よりも弱く、特にISM非製造業は50を割り込んだことから米ドル売りが強まり、6月5日の東京朝方には142円台半ばへと米ドル売りが強まりました。
6月5日は米中関税協議が進んでいるとのニュースを好感し一転リスクオンの動きとなりましたが、NY市場ではトランプ大統領とイーロン・マスク氏が決別、SNS上で言い合いとなったことから一時的に米ドル売りが見られました。ただ、実際に影響が大きかったのはテスラ[TSLA]株だけで、同株は一日で時価総額を22兆円失うという急落相場を演じました。その後引けにかけては金融市場としては全般に落ち着きを取り戻しました。
6月6日は日経平均株価上昇の動きとともにじりじりと円安が進み、雇用統計前には144円台に乗せての数字待ち。結果は強弱ミックスとなったものの事前に発表された数字が弱かった中で、予想よりも強い平均時給を材料に米ドル買いが進みました。米ドル/円は一時145.09円レベルの高値をつけ、144円台後半に押しての週末クローズとなりました。
先週(6月2日週)のユーロ/米ドル:対米ドルの動きは米ドル/円とほぼ同じ
先週(6月2日週)のユーロ/米ドルは、米ドル/円での米ドルの動きほぼそのままという感じでしたが、米ドル/円での円売りの動きに引っ張られてユーロ/円での円安も進んだことからユーロ/米ドルの値幅は米ドル/円の半分程度に収まりました。
ユーロ/米ドルは、ECB(欧州中央銀行)理事会後に一時、週間高値となる1.14946ドルをつけましたが1.15ドル台には戻り売りのオーダーも並んでいたこともあってすぐに買われる前の水準へと下押し。週末の米国雇用統計では更に下押しが入ったものの週初の水準までは下がらず、ユーロ/円でのユーロ買いが効いている様子でした。
米ドル/円チャート(週足)、下降トレンド継続もレジスタンスラインを上抜けか?
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。

・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャートでは、20週移動平均線を下回る展開は継続中なので、下降トレンドとなりますが、週末終値で年初来高値からのレジスタンスライン(黄色)を上抜けて引けたため、このレジスタンスラインについては来週(6月16日週)引直しとなる可能性が高まってきました。今週(6月9日週)は日足でのレジスタンスラインが効いていますので、そちらを見ることとします(図表1)。
日足チャートをご覧ください。
米ドル/円チャート(日足)、6月5日にゴールデン・クロス
短期的な判断は日足で行います。

・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
日足チャートでは、週足チャートの下降ウェッジ(黄色)は引いていません。より短期に効いていると思われる五月高値からのレジスタンスラインと四月安値からのサポートラインによるトライアングル(青)を重視します(図表2)。このトライアングルをどちらかに抜けるまでは、これまでの大きなうねる動きを続けやすいと見ています。
現状は6月5日に発生したゴールデン・クロス後の米ドル高・円安状態となっていますが、これもレジスタンスラインで反落するようであれば、長期トレンドの下げに戻り、次のデッド・クロスがより大きなトレンドへとつながる可能性もあります。まずはトライアングル内での動きを注視しましょう。
ユーロ/米ドル、長期トレンドはユーロ買い継続、年初来高値を再トライか
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。


週足チャート(図表3)は移動平均線を上回った状態を維持していること、改めて年初来高値を試しに行く流れとなっています。引き続き上昇トレンドが継続しているという判断で良いでしょう。
日足チャート(図表4)では6月2日にゴールデン・クロスが出ていること、また3月27日安値を起点とする上昇チャンネル(青)内での動きを続け、年初来高値からのレジスタンスラインも上抜けてきました。今週(6月9日週)にも年初来高値を再トライする動きとなる可能性を考えておく必要があります。
ユーロ/円は、日足チャートでの判断継続、短期上昇チャンネル内での動き
次にユーロ/円のチャートです。

ユーロ/円週足では移動平均線よりも上にあり上昇トレンド継続中です。これまでのレンジの上限に到達しましたので、上抜けてユーロ高トレンドを確定させるのか、反落してレンジに戻すのか、今後1~2週間の動きが重要となるでしょう(図表5)。

日足チャートでは5月26日のゴールデン・クロス状態が続いており、上ヒゲとはいえ5月高値を上抜ける動きも見せました。米ドル/円での円売りの動きがユーロ/円にも波及していることで、短期的なユーロ買いの流れは変わっていません(図表6)。現状は短期上昇チャンネル(青)内での動きとなっていて、このチャンネル内で改めて先週の高値を終値で抜けてくるかが注目点となります。
それでは今週も良いトレードを!