2025年5月12日(月)14:00発表
日本 景気ウォッチャー調査2025年4月分

【1】結果:足元の消費動向は少しずつ低下が示される

【図表1】直近の消費関連統計
※<単位>の補足がないものは指数値、またカッコ内は前年同月比%
出所:総務省、内閣府、日本銀行、経済産業省よりマネックス証券作成

2025年3月の家計調査では、二人以上勤労者世帯の実質消費支出は、前年同月比3.8%増の38.2万円と2ヶ月ぶりに前年同期比でプラスの結果となりました。実収入や可処分所得(収入のうち、税金や社会保険料を控除した所得、いわゆる手取り収入)はここ数ヶ月マイナスでの推移が続いており、実質消費の上昇は電気代といった光熱費などの上昇による影響が考えられます(図表2)。

その他の消費指標を概観すると、経済産業省の基調判断の小売売上高は、緩やかな上昇傾向にあるとされていますが、百貨店がインバウンド需要の減退に伴いマイナス転換となっており、一部に弱さが見られると言えるでしょう。消費マインドも図表1内の2指標は2024年に入って一貫して低下基調であり、弱含んでいると言わざるを得ない内容となっています。

【図表2】二人以上勤労者世帯の収入・消費の推移(前年同月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成、3指標ともに実質ベース

【2】内容・注目点:GDP民間最終消費はよくても前期比横ばいか
 

【図表3】世帯消費動向指数と消費活動指数の推移
出所:日本銀行、総務省よりマネックス証券作成
※CTIミクロは二人以上世帯、消費活動指数3月分データは執筆時点では未公表

世帯消費動向指数とは、別名CTIミクロと呼ばれ、「世帯における平均消費支出額」を指数化したものです。3月の二人以上世帯におけるCTIミクロは前月比(季節調整値)1.7%低下し、2025年1-3月期の家計の消費は振れをもって推移するものの、均してみれば2024年10-12月期から前期比0.7%低下と、小幅に下落となりました(図表3)。

2025年1-3月期のGDPにおいても民間最終消費は前期比で横ばい~小幅の低下が見込まれ、GDPの大半を占める個人消費による押し上げは期待が薄いものと考えられます。個人的にはこの間、CPIはヘッドラインの指数で3%後半~4%と高位で推移しており、またそれもあって家計マインドが低下基調であったことを勘案すれば、個人消費は持ちこたえたものと考えています(図表4)。

【図表4】消費マインド指標の推移(ポイント)  
出所:内閣府よりマネックス証券作成、シャドーは景気後退期

【3】所感:先行きでは賃上げによる消費増に期待

先行きの消費予想は、2024年続き、2025年度も春闘における高水準の賃上げ率の達成が消費を支えていくといった見方が大半を占めています。実際に高水準の賃上げ率を達成した2024年度は6月期、9月期のGDPにおいて個人消費が伸びを支えており、踏襲すれば2025年度も期待感を持てるでしょう(図表5)。

実際には、図表2の実収入や可処分所得、毎月勤労統計の実質賃金といった経済指標を確認する必要があり、現状伸び悩むこれらの指標が上向いていくことが重要でしょう。GDPにおいては、先行きの不透明感から設備投資が弱まる可能性がある中で、個人消費が成長を支えるかが焦点となると考えています。

【図表5】実質GDP成長率と寄与度分解(季節調整値の前期比、%、%ポイント)
出所:内閣府よりマネックス証券作成

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太