パランティア・テクノロジーズ[PLTR]、純利益倍増で過去最高

売上高は前年同期比ベースで15四半期連続の増加

パランティア・テクノロジーズ[PLTR]が発表した2025年1-3月期決算は売上高が前年同期比39%増の8億8400万ドル、純利益が103%増の2億1400万ドルでした。調整後EPS(1株当たり利益)は0.130ドルで、LSEG(ロンドン証券取引所グループ)がまとめた市場予想の0.128ドルを1.4%上回っています。

調整後EPSが小幅に市場予想を上回ったものの、決算発表直後の時間外取引と翌日の取引で株価が急落しました。上振れは織り込まれており、上振れの幅が投資家の期待に届かなかったと受け止められています。

とはいえ業績自体は好調です。売上高は前年同期比ベースで15四半期連続の増加となっており、四半期の過去最高を更新しました。純利益は2億ドル台に乗り、こちらも過去最高です。さらに調整後営業利益が73%増の3億9100万ドル、調整後純利益が70%増の3億3400万ドルと特別要因を除く利益も急増しています。

地域別では米国事業の売上高が55%増の6億2800万ドルと大きく伸びています。中でも民間部門が71%増の2億5500万ドルと急成長しました。政府部門は45%増の3億7300万ドルと順調で、主力部門の座を維持していますが、米国事業の売上比率は民間が41%、政府が59%となり、前年同期の民間37%、政府63%に比べて確実に差は縮まっています。

「SaaS企業の成長指標である40%ルール指標を大きく超えた」

アレックス・カープ最高経営責任者(CEO)は「(SaaS企業の成長指標である)40%ルール指標に当てはめた場合、1-3月期は83%に達し、(40%という)基準を大きく超えた」と説明。「人工知能(AI)時代の中、現代的な企業にオペレーティングシステムを提供している」と述べています。

40%ルール指標は、売上高の伸び率とEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)マージンを足し、40%を超えれば、クラウドベースでソフトウエアを提供するSaaS企業としては赤字であっても健全と考える指標です。パランティアはすでに黒字転換していますが、2025年1-3月期決算では売上高の伸び率が39%、調整後EBITDAマージンが44%で、合計すると83%になります。

決算発表時のガイダンスでは2025年12月通期の売上高を38億9000万-39億200万ドル、米国の民間部門売上高を11億7800万ドル以上(前年比で68%増以上)、調整後営業利益を17億1100万ドル-17億2300万ドルと予想しました。2025年2月に発表したガイダンスでは売上高を37億4100万-37億5700万ドル、米国の民間部門売上高を10億7800万ドル以上(前年比で54%増以上)、調整後営業利益を15億5100万ドル-15億6700万ドルと予想しており、すべての項目で上方修正しています。

【図表1】パランティア・テクノロジーズ[PLTR]:業績推移(単位:百万ドル)
出所:LSEGよりDZHフィナンシャルリサーチ作成
※期末は12月
【図表2】パランティア・テクノロジーズ[PLTR]:週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年5月9日時点)

アムジェン[AMGN]、営業費用抑制で利幅拡大

ヘルスケア銘柄の業績上振れ目立つ

バイオ医薬品のアムジェン[AMGN]が発表した2025年1-3月期決算は売上高が前年同期比9%増の81億4900万ドル、純利益が17億3000万ドル(前年同期は1億1300万ドルの純損失)となりました。非GAAP(米国会計基準)のEPS(1株当たり利益)は4.90ドルで、LSEGがまとめた市場予想の4.30ドルを14.0%上回っています。

2025年1-3月期決算ではヘルスケア銘柄の業績上振れが目立っています。予想EPSに対する上振れ率はファイザー[PFE]が38.8%、CVSヘルスが32.1%、モデルナ[MRNA]が19.6%、バイオジェン[BIIB]も19.6%、GEヘルスケア・テクノロジーズ[GEHC]が10.6%、イーライリリー・アンド・カンパニー[LLY]が10.5%でした。

製品の平均販売価格は下落するも、販売量増加で増収を確保

アムジェンは、製品の平均販売価格が6%下落したものの、販売量が14%増え、増収を確保したと説明しています。前年同期比で売上高が2桁増となった製品は14種類に上り、主力製品では高コレステロール血症治療薬の「レパーサ」が27%増の6億5600万ドル、骨粗しょう症治療薬の「イベニティ」が29%増の4億4200万ドル、B細胞性急性リンパ性白血病の治療薬「ビーリンサイト」が52%増の3億7000万ドルに達しました。

全体の売上高が着実に増える中、売上原価は減価償却費の縮小などで7%減の29億6800万ドルにとどまりました。研究開発費は後期に入る臨床実験の増加で11%増の14億8600万ドルに膨らみましたが、販売管理費が7%減の16億8700万ドルに縮小し、利幅が広がっています。

決算発表時のガイダンスでは2025年12月通期の売上高を343億-357億ドル、GAAPベースのEPSを12.21-13.46ドル、非GAAPベースのEPSを20.00-21.20ドル、資本的支出を23億ドル、自社株買いを5億ドル未満と予想しました。GAAPベースのEPSを10.89-12.14ドルから上方修正したのを除き、今年2月に発表した予想を据え置いています。

【図表3】アムジェン[AMGN]:業績推移(単位:百万ドル)
出所:LSEGよりDZHフィナンシャルリサーチ作成
※期末は12月
【図表4】アムジェン[AMGN]:週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年5月9日時点)

ストライカー[SYK]、主力製品の販売が着実に増加

医療機器の大手のストライカー[SYK]が発表した2025年1-3月期決算は売上高が前年同期比12%増の58億6600万ドル、純利益が17%減の6億5400万ドルでした。調整後EPS(1株当たり利益)は2.84ドルで、LSEGがまとめた市場予想の2.70ドルを5.2%上回っています。

製品の販売量が増える中で平均価格も小幅に上昇し、安定的な増収につながりましたが、減価償却費をはじめ、のれんの減損損失や医療機器規制の強化に伴うコスト増などが響き、GAAPベースの純利益は縮小しました。ただ、特別要因を除く調整後純利益は14%増の10億9700万ドルに達しています。

事業別では手術支援システムなどを軸とする医療外科&脳神経技術部門の売上高が13%増の35億1100万ドルと好調です。ストレッチャーや整形外科用の使い捨て製品などのメディカル事業の売上高が9%増の9億4500万ドル、内視鏡事業が11%増の8億6700万ドル)、手術支援システムなどの装置事業が9%増の7億3000万ドルと着実に伸びています。人工関節などのインプラント製品を開発する整形外科&脊椎治療部門は売上高が10%増の23億5500万ドルで、骨折治療材料や人工関節などの製品が総じて売上高を伸ばしています。

決算発表時のガイダンスでは2025年12月通期の売上高の伸びを8.5-9.5%と予想し、今年1月に発表した8.0-9.0%から上方修正しました。調整後EPSは今回、13.20-13.45ドルと予想し、買収効果を差し引きましたが、実際には前回発表時の予想を据え置いています。

【図表5】ストライカー[SYK]:業績推移(単位:百万ドル)
出所:LSEGよりDZHフィナンシャルリサーチ作成
※期末は12月
【図表6】ストライカー[SYK]:週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年5月9日時点)

エレクトロニック・アーツ[EA]、スポーツゲームが好調

ゲーム開発のエレクトロニック・アーツ[EA]が発表した2025年1-3月期決算は売上高が前年同期比7%増の18億9500万ドル、純利益が40%増の2億5400万ドルでした。調整後EPS(1株当たり利益)は1.21ドルで、LSEGがまとめた市場予想の1.09ドルを11.2%上回っています。

2025年3月通期決算は売上高が前年比1%減の74億6300万ドル、純利益が12%減の11億2100万ドルと苦戦しており、2025年1-3月期の好決算が通期の低迷を和らげた格好です。特にアメリカンフットボールゲームの「カレッジ・フットボール」やサッカーゲームの「FC」といったスポーツゲームが好調でした。

ガイダンスでは2026年3月通期決算の売上高を71億-75億ドルと予想し、上限付近で前年並みになるとの見方を示しました。純利益は7億9500万-9億7400万ドルと前年実績を下回ると予想しています。

【図表7】エレクトロニック・アーツ[EA]:業績推移(単位:百万ドル)
出所:LSEGよりDZHフィナンシャルリサーチ作成
※期末は3月
【図表8】エレクトロニック・アーツ[EA]:週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年5月9日時点)

ドアダッシュ[DASH]、総注文額が20%増と成長

フードデリバリーのドアダッシュ[DASH]が発表した2025年1-3月期決算は純利益が1億9300万ドルとなり、2300万ドルの純損失を計上した前年同期から黒字に転換しました。売上高は前年同期比21%増の30億3200万ドルです。EPS(1株当たり利益)は0.44ドルで、LSEGがまとめた市場予想の0.39ドルを13.0%上回っています。

1-3月期にはデリバリーの注文数が18%増の7億3200万件に伸びています。日用雑貨や食品などを注文する消費者が増える中、1注文当たりの単価も上がっており、総注文額(GOV)は20%増の230億7600万ドルに達しました。

四半期ベースの純利益計上は3四半期連続です。ガイダンスでは2025年4-6月期のGOVを233億-237億ドル、調整後EBITDAを6億-6億5000万ドルと予想しています。2024年4-6月期の実績はGOVが197億1100万ドル、調整後EBITDAが4億3000万ドルだったので、ともに大幅な増加を見込んでいます。

【図表9】ドアダッシュ[DASH]:業績推移(単位:百万ドル)
出所:LSEGよりDZHフィナンシャルリサーチ作成
※期末は12月
【図表10】ドアダッシュ[DASH]:週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年5月9日時点)