エネルギー価格の上昇は、経済的な逆風が強く吹く結果へ

2月28日の米国・イスラエルとイランの軍事衝突から1ヶ月が経つ。米国が提案した15項目からなる和平案をイランが拒絶するなど、停戦の道筋は依然、見えないままである。

今回の軍事行動は、当初、11月の中間選挙を見据えた「強いアメリカ」の演出という側面が強かったことは誰の目にも明らかだろう。しかし、戦争が予想外に長期化し、ホルムズ海峡の封鎖やエネルギー施設への攻撃が行われるなど、トランプ政権の当初の思惑とは異なる展開になってきた。有権者が最も敏感に反応するのは、外交の勝利よりもガソリン価格だ。米国内のガソリン価格が高騰すれば、それはそのまま現政権への不満へと直結し、トランプ氏にとって、選挙のための戦争が、選挙に負けるためのマイナス要因になりつつある。

エネルギー価格の上昇は、沈静化の兆しを見せていたインフレを再燃させる。先日発表された雇用統計では失業率が上昇し雇用者数が減少するなど労働市場の悪化の兆候が見られる。そこにインフレが重なればスタグフレーションという、非常にやっかいな経済状況になる。市場が期待していた「利下げ」のシナリオは崩れ、長期金利は上昇し米国株は下落している。金利上昇は投資家だけでなく住宅ローンを抱える中間層の離反をも招く。経済の堅調さを最大の武器としてきた政権にとって、いまは経済的な逆風が強く吹く結果となっている。

市場は(見えないながらも)停戦を織り込み始めた理由

というわけで、米国が仕掛けた(あるいはイスラエルに乗った、乗せられた?)イラン攻撃であったが、仕掛けた側の米国がこの戦争を終わらせたがっているのも、ほぼ確実だろう。停戦の道筋は見えないと述べたが、市場は(見えないながらも)停戦を織り込み始めたようだ。

第一に原油の先物価格が高値を抜けなくなっている。ホルムズ海峡封鎖のニュース直後に瞬間的に120ドル手前まで急伸したが、それ以降は、取引時間中に100ドルを超えることはあっても終値で100ドルを超えて引けたことがない(NYM-ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の時間内取引)。明らかに上値が限られている。

第二に、日本株の堅調さである。ほとんどを中東からの輸入に頼る原油価格の高騰が日本経済および日本株のアキレス腱だが、その原油価格が高止まりはしているものの、一本調子の上昇がみられないこともあって、日本株を底堅くしているのだろう。(週明け公開のレポートに続く)