4月10日の戻り高値を上回るも押し返される

前回のコラムでは2つのポイントを解説しました。1つは「上向きの5日移動平均線上を維持できるか」について、そしてもう1つは「4月10日の戻り高値を終値で上回ることができるか」についてでした。

実際の動きを確認すると、1つ目の「5日移動平均線上を維持できるか」については、4月21日の終値でわずかに5日移動平均線を下回ると、翌22日も下回ったままで終えており、2024年8月5日の再現とはなっていません。

一方で、2つ目の「4月10日の戻り高値を終値で上回ることができるか」については、4月18日には、10日の戻り高値を終値で上回っています。ただ、一旦10日の戻り高値を上回ったものの、すでに5日移動平均線を下回っていることから、下降トレンドの発生に警戒が必要と考えられます。下降トレンド発生を明確に知るにはどこに注目すればよいのでしょうか?

そのポイントは、引き続き5日移動平均線の向きと株価の位置関係です。本稿執筆時点の4月22日は、5日移動平均線を下回るとともに5日移動平均線がわずかに下向きに変化しています。そのため、5日移動平均線が上値の抵抗になって押し返される状態が続いた場合は、下降トレンドが発生したと判断することができると思いますが、これだけでは、明確に下降トレンドが発生したとは判断できません。

なぜなら、モメンタムを見ると、上昇の勢いが下落の勢いを上回っているため、5日移動平均線上を回復する可能性があるからです。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※移動平均線の期間は5日(グレー線)、25日(赤線)、75日(青線)で設定
※出来高はプライム市場
※モメンタムの期間は10日(青線)で設定し、モメンタムの3日移動平均線(赤線)も表示

モメンタムが0ライン上を維持できるか要注目

実際のチャートを見ると、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインをわずかですが上回っています。この場合、上昇の勢いの方が下落の勢いより強いと考えられるため、モメンタムからは明確に下降トレンドが発生したと判断できません。

つまり、注意するべきポイントは、「2本線が0ラインを下回って低下するか」です。仮に2本線が低下して0ラインを下回るとともに水準を切り下げるようなら、下落の勢いが強まっていることになり、5日移動平均線を下回った状態であれば、下落の勢いが加速することが視野に入ると思われます。

一方で、2本線が低下しても限定的だったり、2本線ともに水準を切り上げたりするようなら、株価が5日移動平均線上を回復することが考えられるため、下降トレンドの発生を回避して、下向きの25日移動平均線辺りまで反発が続くことが期待されます。

このように、2つのテクニカル指標を組み合わせることによって、より明確に判断できるようになります。実際の売買に役立てるとともに、市場の変動に振り回されないようにしたいところです。