東京市場まとめ
1.概況
日経平均は17円安の34,249円で寄付きました。米エヌビディア[NVDA]は中国向けに設計した人工知能(AI)向け半導体が米政府による輸出規制の対象となったことに伴い、費用を計上すると発表し、これを受けて時間外取引で大きく下落となりました。日本市場でもこの流れを引継ぎ、半導体関連銘柄を中心に軟調な展開となりました。少しずつ下げ幅を拡大し、251円安の34,016円で前引けとなりました。
後場も一段安となりました。節目の34,000円台を割り込んでの推移が続き、半導体関連銘柄を中心に下げ幅を拡大すると、14時33分に609円安の33,658円をつけ本日の安値を更新しました。その後は持ち直すも、最終的には節目の34,000円を割り込む347円安の33,920円で大引けとなりました。
新興市場では、東証グロース250指数が1.7%安で5日ぶりに反落で取引を終えています。
2.個別銘柄等
アドバンテスト(6857)は6.5%安の5,423円をつけ、大幅続落となりました。米エヌビディア[NVDA]が中国向けに設計した人工知能(AI)半導体「H20」が米政府による輸出規制の対象になったと発表し、2025年2~5月期に最大55億ドルの費用計上することで収益の伸びが抑えられる懸念から時間外で売られ、日本市場の半導体関連銘柄にも売りが波及しました。また、取引時間中に半導体製造装置のASMLホールディング[ASML]が1~3月期の決算発表をし、受注額が市場予想を下回ったことが伝わったことで半導体関連銘柄の売りに拍車がかかりました。ディスコ(6146)は8.0%安、東京エレクトロン(8035)は1.5%安で取引を終えています。
エーザイ(4523)は3.7%高の3,865円をつけ、3日続伸となりました。アルツハイマー病治療薬であるレカネマブについて、欧州委員会から15日付でEUでの販売承認を得たと発表し、販売拡大が見込まれ、収益貢献が期待されたことで買いが集まりました。
フジ・メディア・ホールディングス(4676)は0.8%高の3,215円をつけ、4日ぶりに反発となりました。アクティビストとして知られる米ダルトン・インベストメンツが、事実上の取締役の総入れ替えを求める株主提案をすると日本経済新聞が報じました。足元の同社株価は高値を更新していることもあり、軟調に推移する時間が続くも、引けにかけて買われ小幅高で取引を終えています。
コメダホールディングス(3543)は2.0%高の2,931円をつけ、3日ぶりに反発となりました。国内証券が、目標株価を従来の3,300円から3,400円に引き上げ、強気の姿勢を継続したことが買い材料となりました。
健康食の宅配会社であるファンデリー(3137)はストップ高となる17.7%高の532円をつけ大幅反発となりました。高級スーパー「クイーンズ伊勢丹」で国産の高品質冷食「旬をすぐに」の販売を開始、7店舗で導入すると15日に発表し、販路拡大による業績拡大の期待から買いが集まりました。
VIEW POINT: 明日への視点
半導体株安が市場の重荷となり、日経平均は1.0%安で取引を終えています。明日の材料としては、日米の関税交渉が開始されるほか、本日夜間のパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長によるシカゴのエコノミッククラブでの講演があげられます。
また、明日の午前中には日銀中川審議委員が講演を行う予定で、関税が及ぼす各国経済への影響について、中銀関係者の見通しがどのようであるかに注目です。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)