東京市場まとめ
1.概況
前週末に1,100円安と急落した反動で、自律反発の買いが優勢となったことに加え、前週末の米国市場にて主要3指数が揃って上昇したことで、日経平均は462円高の37,617円で寄り付きました。寄り付き後は伸び悩み9時37分に216円高の37,372円をつけ本日の安値を更新しました。その後は持ち直すも、上値は重く424円高の37,580円で前引けとなりました。
後場は株価指数先物に買いが入ったことで、上げ幅を拡大する展開となりました。14時19分に672円高の37,827円をつけ本日の高値を更新しました。その後は伸び悩むも最終的には629円高の37,785円で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が8日ぶりに反発、0.7%高で取引を終えました。
2.個別銘柄等
IHI(7013)は7.8%高の9,408円をつけ大幅反発で取引を終えました。2月28日、トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が会談を行うも、激しい口論の末に会談が決裂したことで地政学リスクが意識され、防衛関連銘柄に買いが入りました。三菱重工業(7011)は6.7%高、川崎重工業(7012)は4.6%高でともに反発となりました。
リクルートホールディングス(6098)は6.9%高の9,410円をつけ反発となりました。2月28日に発行済み株式総数(自社株を除く)の3.51%にあたる5,200万株、金額にして4,500億円を上限とする自社株買いを実施すると発表し、積極的な株主還元姿勢を評価した買いが入りました。
日立製作所(6501)は2.1%高の3,830円をつけ反発となりました。1日付の日本経済新聞朝刊が「国の研究機関である分子科学研究所や日立などは新型の量子コンピューターを2025年中に稼働する」と報じたことで、従来のコンピューターでは不可能であった大規模かつ複雑な計算を短時間でこなす量子コンピューターへの期待が買い材料となりました。
イオン(8267)は3.5%高の3,813円をつけ3日ぶりに反発となりました。子会社のイオンモール(8905)とイオンディライト(9787)の2社を完全子会社化すると発表し、経営効率の向上を期待した買いが入りました。
ディー・エヌ・エー(2432)は7.9%安の3,672円をつけ3日ぶりに反落となりました。2月28日にスマートフォンゲーム「Pokemon Trading Card Game Pocket(ポケポケ)」におけるカードの拡張パックを追加して以降、「iOS」向けゲーム総合セールスランキングで首位が続いているものの、材料出尽くしとみた売りが優勢となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は自律反発の買いが相場を支え629円高で取引を終えました。ウクライナに関わる地政学リスクも意識され、今週は上値の重い1週間となる公算が高いと考えられます。
明日の材料としては、今晩発表される2月の米ISM製造業景気指数に注目です。事前の市場予想では、節目の50を上回る50.5(前回1月は50.9でわずかに縮小)が予想されていますが、足元では米経済の鈍化も指摘されていることから、PMI指標の市場予想からの下振れや50を割り込む可能性が考えられ、仮にそうなった場合には株式市場に下押し圧力となることが想定されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)