正念場と指摘した前回から状況は悪化、下降トレンドが発生するのか

前回のコラムでは「5日移動平均線上を維持できずに割り込んで戻せなくなると、すべての移動平均線が下向きに変化して日経平均が38,000円辺りまで下落することが考えられる」と解説しましたが、5日移動平均線を割り込んで戻せなくなったあと、解説した通り、25日にはすべての移動平均線が下向きに変化し、日経平均株価も38,000円に接近して取引を終える結果となりました。

そうしたなか注目されるのは、下降トレンドの発生です。2024年12月以降は38,500円前後が安値になっていました。2024年10月以降の値動きを振り返りますと、38,000円を割り込むと反発するといった値動きになっており、今回も38,000円を終値で維持できるかがレンジ相場を維持するカギになるでしょう。

また、引き続き5日移動平均線にも注目しておく必要があります。なぜなら、下向きの5日移動平均線を上回ることができないと、38,000円を下回ること考えられるからです。そのため、38,000円前後の水準を維持するには、下向きの5日移動平均線を上回ることが必要になります。

仮に5日移動平均線を上回って維持するようであれば、再び200日移動平均線上を回復するとともに、他の移動平均線も上回ってレンジ相場の上限となっている4万円に接近することが視野に入ります。その反面、5日移動平均線を上回って維持することができないようであれば、38,000円を割り込み、2024年9月につけた36,000円台まで下落する可能性が出てきます。その場合、押し目買いは控えるか、下げ止まりを確認してから行う必要があるでしょう。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※移動平均線の期間は5日(グレー線)、25日(赤線)、75日(青線)で設定
※出来高はプライム市場 ※モメンタムの期間は10日(青線)で設定し、モメンタムの3日移動平均線(赤線)も表示

モメンタムは緩やかに低下中、水準に注意

上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを下回って低下していることがわかります。

こうした状況から、2本線の低下が続くかが注目ポイントです。仮に2本線の低下が続くようですと、下落の勢いが強まり、下向きの5日移動平均線を上回ることができないばかりか38,000円割り込んで、2024年9月につけた36,000円台まで下落する可能性もあり、注意が必要です。

特に、2本線が過去の低い水準を下回ってしまったときは、それだけ下落の勢いが強いことを示すことになるため、過去の低い水準を下回ったまま低下が続くときはさらに警戒が必要です。

一方で、2本が低下しても限定的だったり、上向きに変化して0ラインを上回って水準を切り上げたりするようであれば、上昇の勢いが強まって38,000円台を維持し、4万円への接近も視野に入ります。反発に向かうのか、それとも下落が続いてしまうのか、モメンタムの向きや水準から判断して、見逃さないようにしたいところです。