【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 44,421.91 ▼122.75 (2/3)
NASDAQ: 19,391.96 ▼235.49 (2/3)
1.概況
昨日の米国市場では、主要3指数が揃って続落となりました。トランプ大統領は1日に、メキシコとカナダに25%の関税、中国に10%の追加関税を課す大統領令に署名したことから、関税引き上げによる企業業績への影響が懸念され、朝方は売りが先行しました。ダウ平均は276ドル安で取引を開始し、その後下げ幅を拡大すると、一時は665ドル安まで下落しました。
その後、午前にトランプ大統領とメキシコのシェインバウム大統領がメキシコへの関税発動を1ヶ月延期することで合意したことが報じられると、下げ幅を縮める展開となりました。最終的にダウ平均は122ドル安の44,421ドルで取引を終え、続落となりました。
また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は235ポイント安の19,391ポイント、S&P500株価指数は45ポイント安の5,994ポイントで取引を終え、いずれも続落しています。
2.経済指標等
1月のISM製造業景気指数は50.9を記録し、市場予想を上回って前月から上昇しました。また、2022年10月以降で初めて景気の境目とされる50を上回って、製造業の景気の拡大を示しました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち生活必需品や公益事業、エネルギーなどの5業種が小幅な上昇となりました。一方で、6業種が下落となり、なかでも情報技術や一般消費財・サービス、資本財・サービスは1%以上下落しています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄では、30銘柄のうち12銘柄が上昇しました。特に、アイビーエム[IBM]は約2%上昇し、プロクター・アンド・ギャンブル[PG]、ベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]、アムジェン[AMGN]、ウォルマート[WMT]、ビザ[V]、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]は1%以上上昇しました。一方、18銘柄が下落し、アップル[AAPL]は3%以上の下落となりました。また、エヌビディア[NVDA]とキャタピラー[CAT]は2%以上下落、スリーエム[MMM]とゴールドマン・サックス[GS]、マイクロソフト[MSFT]は1%以上下落しました。
ダウ平均構成銘柄以外では、動物用診断薬・検査機器メーカーのアイデックス・ラボラトリーズ[IDXX]が四半期決算で売上高・EPS(1株当たり純利益)ともに市場予想を上回ったことで、11.1%上昇し、S&P500構成銘柄の値上がり率トップとなっています。一方、トランプ大統領がカナダ・メキシコ・中国への関税発動を表明し、各国も報復措置を宣言したことで、部品の輸入コストや北米での組立コスト上昇が懸念され、自動車株は軒並み下落しました。テスラ[TSLA]は5.2%下落し、ステランティス[STLA]は3.9%、ゼネラルモーターズ[GM]は3.2%、フォード・モーター[F]は1.9%下落しました。
5.為替・金利等
米長期金利は前日から0.01%高い4. 55%となりました。ドル円は、154円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は、米国市場の下落が逆風となる一方、米国の貿易政策を巡っては、メキシコへの関税が1ヶ月延期で合意され、カナダについても30日間の延期が決まったことで、関税に対する懸念が和らぎ、投資家心理の改善が期待されます。
また、前日の大幅安を受けた自律反発の買いも見込まれ、日経平均先物は夜間取引で上昇し、300円高の3万8900円で取引を終了しています。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)