モトリーフール米国本社、2025年1月28日 投稿記事より

AI分野で大きく躍進した2社

人工知能(AI)はすでに産業を変革しつつあり、自動車輸送から創薬まで、あらゆる分野に影響を与える可能性を秘めています。PwCによる最新の試算では、ほぼすべての分野に影響を与える可能性があることから、AIは2030年までに15兆7,000億ドルの価値を持つとされています。

現在AI分野で大きく躍進しているのは、対話型AIプラットフォーム企業のサウンドハンド・AI [SOUN](以下、サウンドハンド)と半導体企業のエヌビディア [NVDA] の2社です。それぞれAIの異なる分野をターゲットにしていますが、両社の株価はともに最近急騰しています。エヌビディアは過去12ヶ月で137%、サウンドハンドの株価は730%という驚異的な上昇率を記録しています。

しかし、どちらが優れたAI株なのでしょうか?詳しく見てみましょう。

サウンドハンド・AIは売上の多様化に向け前進

サウンドハンドは対話型AI分野のリーダーであり、同社のプラットフォームは顧客サービスの向上やデバイス上のやり取りをより簡単にするために、200社を超える企業顧客が利用しています、例えば、チポトレ・メキシカン・グリル[CMG]はサウンドハンドの技術をドライブスルーや電話注文の自動化に使用し、ステランティス[STLA]は同社の自動車ブランドで音声操作コマンドにこれを使用しています。

以前同社は一握りの大企業に収入の多くを依存していましたが、最近では売上の多様化に向けて大きく前進しています。現在、 最大手の顧客からの売上はわずか12%で、2024年の72%から大きく減少しています。

注目すべき点は、同社がレストラン、金融サービス、ヘルスケア、保険などの新たな市場にもサービスを拡大していることです。こうした新規市場はそれぞれ売上高の5%から25%寄与しており、売上全体の90%が自動車関連顧客からのものであった2024年の状況から改善されています。

第3四半期(2024年7~9月期)の売上高は89%増の2,510万ドルで、今後もさらなる成長が見込まれます。経営陣は2025年の売上高を中間値で1億6,500万ドルと予想しており、これは2024年の推定売上高である8,350万ドルの倍となります。

エヌビディア、売上と利益が絶好調

エヌビディアのビジネスチャンスは、AI半導体のリーディングカンパニーとしての地位から来ています。エヌビディアのプロセッサは、AIデータセンターの70%から95%に搭載されていると推定され、そのリードをすぐに失う兆候はありません。

エヌビディアは最近、最新のBlackwellプロセッサを発表しました。同社はまた、需要がすでに供給を上回っていると述べています。世界最大級のハイテク企業は今、AI競争に突入しており、AIインフラを構築するために巨額の資金を費やしています。その結果、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが推測するように、今後5年間でAIデータセンターへの支出は倍増し、2兆ドルに達するでしょう。

エヌビディアのプロセッサはすでにAIデータセンターを席巻しており、同社の新たなBlackwellシステムは高い需要があることから、同社の長期的な可能性は十分に保たれています。また、トランプ政権が最近発表した、米国内のデータセンターへの最大5,000億ドルの支出は、オラクル[ORCL]、ソフトバンクグループ(9984)、OpenAIが将来のAIの進歩を促進するために必要なシステムを構築する際に、エヌビディアのプロセッサへの需要をさらに高める可能性があるとみられます。

エヌビディアにとってもうひとつの大きなプラスは、売上と利益の両方が絶好調であることです。第3四半期(2024年8~10月期)の売上高は94%増の351億ドル、純利益は109%増の193億ドルに急増しました。今後さらにデータセンターへの投資が見込まれることから、エヌビディアの将来は非常に明るいと思われます。

サウンドハンドとエヌビディア、どちらに優位性がある?

両社とも、AIが成長するにつれて恩恵を受ける可能性を大いに秘めていることは否定でききません。しかし、エヌビディアがサウンドハンドより優れている点は、すでに大きな利益を上げていることです。

エヌビディアの希薄化後利益は、直近四半期で2倍を超える1株当たり0.78ドルとなったのに対し、サウンドハンドの非GAAP(一般に公正妥当と認められた会計原則)ベースの純損失は1株当たり0.04ドルでした。サウンドハンドは前年同期から赤字幅を縮小しましたが、厳密に収益性を見ると、エヌビディアの圧勝となります。

また、ここ数年のサウンドハンド株価の高騰は、同社の株価を割高に見せています。同社の株価は現在、売上高株価比率が74であり、これは投資家が同社を所有するために多額のプレミアムを支払っていることを意味します。

対照的にエヌビディアは、AI投資家が求めるものをほぼすべて備えています。収益性が高く、AI投資が拡大するにつれて成長する余地が十分にあり、予想PERもハイテク株比率の高いナスダック100の26.4に対して34と比較的割安です。こうした理由から、エヌビディアは優位性のあるAI銘柄に見えます。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Chris Neigerは、記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はチポトレ・メキシカン・グリル、エヌビディア、オラクルの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はステランティスを推奨し、以下のオプションを推奨しています:チポトレ・メキシカン・グリルの2025年3月満期の58ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。