ユーロ/米ドル=約2年も1.05~1.1米ドル中心の小動きが続く
ユーロ/米ドルは、2023年からすでに2年も、1.05~1.1米ドル中心の小動きが続いている。大幅な金利差がある中で大きな変動が続いてきた米ドル/円などと対照的に、先進国通貨に対する米ドル取引、「ドルストレート」は金利差が限られる中で方向感が出にくいという状況が長期化しているわけだ(図表1参照)。
ユーロ/米ドルも、2024年は何度か上下ともに小動きのレンジ・ブレークを試す動きがあった。ユーロ/米ドルは、米国とユーロ圏の金融政策を反映する独米2年債利回り差ときれいに連動してきたことから、その意味ではFRB(米連邦準備制度理事会)とECB(欧州中央銀行)の金融政策の違いを手掛かりとした動きと見られた。足下では、2025年にかけてのFRBの利下げ中断、ECBの利下げ継続などを材料視し、ユーロ安・米ドル高方向のレンジ・ブレークを試す展開が続いた(図表2参照)。
それにしても、過去2年から大きく変わり、新たな方向性が出るのはまだ難しそうだ。2025年の予想レンジは1~1.1米ドルで、2024年より少しユーロ安・米ドル高方向にシフトする程度で想定したい。
ユーロ/円、英ポンド/円=7月にかけて大幅高、ただその後は急落
ユーロ/円は複数年続く、下落トレンドに転換した可能性
対照的にユーロ/円は、2024年も大きく変動した。7月には、2008年に記録した最高値を更新、175円まで一段高となった。これは、米ドル/円が161円まで上昇するなど、大幅な金利差円劣位を背景に全面的な円売りが続いた結果だったのだろう。ただ、その後は8月にかけて一時154円台までユーロ/円も急落となった(図表3参照)。
ユーロ/円の5年MA(移動平均線)かい離率は一時25%程度まで拡大し、これまでの最高を更新した。つまり、5年MAとの関係で見ると、170円以上に上昇した動きは、過去最高の「上がり過ぎ」だったのではないか。その修正が8月にかけてのユーロ/円急落と考えられる(図表4参照)。
上記の急落を受けて、ユーロ/円は52週MA(11月末時点、163円)を大きく割り込んだ(図表5参照)。このような値動きは、経験的にはユーロ/円の上昇があの175円で終わり、複数年続く下落トレンドに転換した可能性を示している。そうであれば、2025年のユーロ/円は、一時的に上昇しても52週MAを大きく上回らない程度にとどまり、5年MAかい離率が示す「上がり過ぎ」修正で一段安に向かうと予想される。2025年の予想レンジは、145~165円で想定したい。
英ポンド/円は記録的な「上がり過ぎ」が修正される
最後に英ポンド/円について取り上げるが、基本的な構図はユーロ/円に近いだろう。英ポンド/円も7月に2008年以来の高値まで上昇、ただその後は8月にかけて急落となった。7月に高値を記録した局面で、英ポンド/円の5年MAかい離率は30%近くまで拡大した(図表6参照)。これは、英ポンド/円が記録的な「上がり過ぎ」になっていたことを示しているだろう。2025年は、このような「上がり過ぎ」修正が基本になりそう。予想レンジは、170~200円で想定する。