【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 44,401.93  ▼240.59 (12/9)
NASDAQ: 19,736.69  ▼123.08 (12/9)

1.概況

昨日の米国市場は主要3指数が揃って下落となりました。来週のFOMC(米連邦公開市場委員会)の政策判断に影響を与える米CPI(消費者物価指数)と米PPI(生産者物価指数)の発表を控えるなか、買いが手控えられる展開となりました。

4ドル安と小安く寄り付いたダウ平均は一時プラスに転じ85ドル高まで上昇するも、すぐに下落に転じその後は軟調な推移となりました。昼ごろには再びプラスに戻る場面も見られましたが、買いの勢いは強まらず売りが優勢となり、午後は下げ幅を広げる展開となりました。終盤にかけても下げ幅を拡大し、結局ダウ平均は240ドル安の44,401ドルとこの日の安値付近で取引を終え、3日続落となりました。

また、中国当局がエヌビディア[NVDA]に対して独占禁止法違反の疑いで調査を開始したとの報道を受け、半導体関連株やハイテク株の売りが目立ちました。これを受け、ハイテク株比率が高いナスダック総合指数は、123ポイント安の19,736ポイントで取引を終え、反落となりました。また、S&P500株価指数も37ポイント安の6,052ポイントで取引を終え、反落しています。

2.経済指標等

10月の米卸売在庫の確報値は前月比0.2%増となり、前月発表された速報値から変わらず市場予想と一致しました。

3.業種別動向

S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうちヘルスケアと不動産の2業種が上げました。いずれも1%未満の小幅高にとどまっています。一方で、9業種が下げ、金融やコミュニケーション・サービス、公益事業は1%以上の下げとなりました。

4.個別銘柄動向

米国市場では、ダウ平均構成銘柄は30銘柄中11銘柄が上昇となり、なかでも、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]とボーイング[BA]が2%以上上昇したほか、アムジェン[AMGN]やアップル[AAPL]、シェブロン[CVX]、キャタピラー[CAT]が1%以上上昇しました。一方で、19銘柄が下落となり、なかでもアイビーエム[IBM]とトラベラーズ・カンパニーズ[TRV]が3%超下落、セールスフォース[CRM]やシャーウィンウィリアムズ[SHW]、アメリカン・エキスプレス[AXP]、エヌビディア[NVDA]が2%超下落、そのほかウォルマート[WMT]やウォルト・ディズニー[DIS]、プロクター・アンド・ギャンブル[PG]など7銘柄が1%超下落しています。

ダウ平均構成銘柄以外では、中国の政府当局が来年に向けて経済を支えるために積極的な財政政策と併せて、2010年以来となる「適度に緩和的な」金融政策を導入すると発表したことで、米国上場の中国関連銘柄の上昇が目立ちました。ビリビリ[BILI]が216.%高、ニオ[NIO]が12.4%高、アリババ・グループ[BABA]が7.4%高、バイドゥ[BIDU]が7.6%高となりました。また、チョコレート市場で高いシェアを持つ菓子メーカーのハーシー[HSY]が、同業のモンデリーズ・インターナショナル[MDLZ]による買収検討報道が伝わったことで、10.8%高となりました。なお、これを受け、モンデリーズ・インターナショナルは2.3%安となっています。

一方で、ケーブルTV大手のコムキャスト[CMCSA]は、ワトソンCEO(最高経営責任者)が出席したコンファレンスにて、ハリケーンの影響でブロードバンド加入者が約1万人減少し、第4四半期は減少数を10万人以上見込むと発言したことを受けて、9.5%安となりました。また、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ[AMD]はアナリストによる投資判断と目標株価の引き下げを受けて、5.6%安となりました。

5.為替・金利等

長期金利は0.05%高い4.20%となりました。ドル円は、円安方向に進展し151円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は、米国市場の下落を受けて軟調な展開となりそうです。こうしたなか、日経平均は来週のFOMCや日銀会合を通過するまでは上値が重い展開が予想されますが、心理的節目の39,000円や25日移動平均線(昨日時点で38,781円)をサポートに底堅さをみせるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)