「火星に星条旗を」トランプ大統領とイーロン・マスク氏の野望
宇宙への関心が近年、急速に高まっています。ここでもトランプ大統領の影がちらついています。
アメリカの第47代大統領に就任したトランプ氏は、1月20日に行われた就任演説の中で「我々は米国の宇宙飛行士を火星に送り、その地に星条旗を掲げる」と宣言しました。
選挙期間中から大統領お気に入りの側近として付き添っていたイーロン・マスク氏は、その就任式にも出席して、演説に呼応して「サムアップ」(親指を立てる)の仕草で応えました。
宇宙開発はいまやSF映画や小説の世界の夢物語ではありません。宇宙そのものを巨大な未開のマーケットとしてとらえる動きが民間企業を中心に活発化しています。日本の株式市場でも2024年から「宇宙ビジネス」を本業とする企業が相次いで株式公開に踏み切っています。
NASAの月面探査プログラム「アルテミス計画」は当初計画より遅延
もともとトランプ氏は宇宙に対して強い関心を持っていたと見られます。第1次トランプ政権では「アルテミス計画」と銘打った有人での月面探査計画を打ち出しています。それが2期目の今回は火星まで一気に目的地が広がりました。アメリカが建国の時代から高く掲げるフロンティア精神の大いなる発露と見ることもできます。
アルテミス計画は当初、有人の月面着陸を2026年9月と定めていました、それが宇宙船の建造計画の遅れから2027年以降と計画が延期されています。
イーロン・マスク氏はテスラ[TSLA]と並行して「スペースX」も軌道に乗せた有能な経営者です。NASAでも困難な宇宙船打ち上げを成功させており、月面着陸から火星へと目標がさらに拡大されています。
火星への有人探査は、人体への影響など多くの技術的な課題が残されています。困難な道であることは間違いありませんが、それだけに官民一体で国の総力を挙げた取り組みが必要になってきます。人類全体の夢を乗せたトランプ大統領とマスク氏の挑戦に目を凝らしておきたいものです。
宇宙開発を支える日本の関連銘柄をピックアップ
宇宙開発に関連する企業をご紹介します。
日本電気(NEC)(6701)
エレクトロニクス、ITサービスの大手企業。通信インフラでは国内トップ。官公庁、企業向けにシステム構築、保守・運用を手がける。JAXAと共同で開発した「LUCAS(ルーカス)」は光通信を用いた衛星間通信システム。地球観測衛星とデータ中継衛星を光通信によって結び、大容量データの収集、伝送網を形づくっている。この光無線通信技術を使えば5Gの100倍~1000倍の大容量データを瞬時に送ることができる。
三菱電機(6503)
総合電機メーカーとして重電から白物家電までを手がけている。収益の柱はFA機器、自動車電装品で構成される産業メカトロニクスと、発電機・昇降機の重電システム。パワー半導体でも世界トップを走る。宇宙分野で得意とするのは人口衛星の運行システム。JAXAと共同で開発した人工衛星「だいち4号」はデータ送信速度が通常の3倍あり、世界記録としてギネスブックに認定されている。
ispace(アイスペース)(9348)
宇宙開発に特化したスタートアップ企業で2013年に創業された。本格的な月面開発の事業化に取り組む。具体的には、月への輸送物資である顧客の荷物を、同社の月着陸船(ランダー)、月面探査車(ローバー)に搭載して月まで輸送するサービスを提供。2025年1月15日に月面探査車を積んだ「ミッション2」の宇宙ロケットの打ち上げに成功。順調に計画が進めば2025年5月から6月に月面に着陸する予定である。
三井不動産(8801)
日本最大級の総合不動産。主力のオフィスビル賃貸は、日本橋を中心に東京都心5区を軸に展開。本社のある日本橋室町三井タワー、霞が関ビルディング、東京ミッドタウンなどを保有する。同社は宇宙ビジネスを成長産業と位置づけており、本拠地・日本橋はいまや宇宙ビジネスの中核的な拠点であり、JAXAや宇宙関連のスタートアップ企業が集積している。イベント開催を通じて有能な社員、企業、投資家、政府系機関の交流を目指している。