リスクの大きさでコア資産とサテライト資産に分類できる

長期で資産全体の成長を目指す投資を実践する場合、1つの資産に集中投資するのではなく、相関の低い様々な資産に分散させる必要があります。

投資対象のリスクとリターンの関係は、ローリスク・ローリターン、ハイリスク・ハイリターンが基本です。リスクが低くてリターンの高い商品は、一般には存在しません。また、リスクが高いのにリターンが低い商品は活用する必要のない商品です。

どの商品を使って、どのようなポートフォリオを作るかは個人差があります。大切な事は、自分のリスク許容度に合った資産を使って、それらを組み合わせることです。

リスクが比較的低い資産は着実なリターンを狙うために誰しもが活用する商品といえます。一方で、高いリターンが狙えるもののリスクも高い商品は、必ずしも活用する必要がありません。

前者のような資産配分の中心となる着実なリターンを狙うものを「コア資産」と呼び、後者のようなリスクが高く誰にでも必要とはいえない投資対象を「サテライト資産」と呼びます。

2つの分類方法に明確な定義があるわけではありません。コア資産に関して、私は下記の2つを投資対象として考えています。

投資対象として考えたい2つのコア資産

コア資産1. 誰もが投資した方が良いコア資産

日本株、日本以外の先進国株、新興国株に投資をする株式型インデックスファンドは、経済成長から長期で恩恵を受けることができる誰もが投資すべきコア資産と考えます。インデックスに投資をすることで、銘柄の分散を十分に行うことができ、さらに、月次の積立によって投資タイミングを分散させるドル・コスト平均法が実践できます。

また、税制優遇制度であるNISAを活用することで、利益が出た際の手取りの金額を増やすことができます。

株式型インデックスファンドだけではなく、債券型の商品も組み合わせることで、リスクコントロールが可能です。

コア資産2. お金が借りられる人が投資すべきコア資産

インデックスファンドのような金融資産と同じように、着実なリターンが狙える実物資産として都心のワンルームマンションがあります。

賃貸需要が将来にわたって安定しており、空室リスクや家賃の下落リスクが低いのが特徴です。

ただし、金融資産と異なり投資金額が大きく、借り入れを活用した投資が基本となります。金融機関から融資が受けられる人はコア資産として活用すべきです。

また、金融資産と異なり「誰から買うか」も重要になります。しっかり情報収集をしてから、投資の最終判断をすることが必須です。

サテライト資産はハイリスク・ハイリターン

サテライト資産には、海外不動産、暗号資産、未公開株式などが考えられます。

どれもコア資産に比べると不確実性が高く、投資対象の選択も簡単ではありません。投資初心者がリスクを取るのには向かないものです。

海外不動産は国内不動産とは別もの

海外不動産は同じ不動産でも国内不動産とは別物と考えた方が良いでしょう。外貨投資になりますから、物件の価格変動だけではなく為替リスクも取ることになります。

また、国内不動産のような土地勘もなく、贈与税や相続税の節税メリットも取れません。不動産投資の経験を積んでから、現地でしっかり物件調査を行って投資判断すべきです。

暗号資産は変動率が高くハイリスク

暗号資産はトランプ氏が次期アメリカ大統領に就任することが決まってから、規制緩和期待で上昇しています。

しかし、そもそも変動率の高い資産で、今後も乱高下する局面が予想されます。高い変動率を前提に、投資対象の分散や投資タイミングの分散を行うべきでしょう。サテライト資産として組み入れる場合でも、資産全体の10%程度を限度に分散を徹底させるべきです。

スタートアップ企業投資は詐欺に注意

スタートアップ企業投資とは、上場する前の会社の株式を取得し、企業価値の拡大や将来の株式上場からリターンを狙う投資です。上場している大企業に比べ、経営の安定性は低く、極めてリスクの高い投資対象といえます。また、ネット上で未公開株式への投資を勧誘する悪質な投資詐欺も増えています。

私は経営者と直接面識がある会社に限定し、事業内容や経営者の資質に関し情報収集した上で、複数の会社に分散して未公開株式を保有しています。紹介者の話を鵜呑みにし、よく知らない会社への安易な投資はやめるべきです。

分散で資産全体のリスクをコントロールする

今回紹介した投資対象以外にも様々な投資対象が次々と出てくると思いますが、コア資産に含まれるものは、基本的に変わりません。

まずは金融資産でしっかりと資産の土台を作り、その上でそれ以外の幅広い投資対象に全体のリスクをコントロールしながら投資していくのが良いでしょう。

そのためには、幅広い情報ソースを確保し、成功の確率の高い投資対象を選び出せるスキルを磨かなければなりません。

コア資産とサテライト資産の違いを認識し、資産全体で適切なリスクを取ることが長期投資の成功につながることを忘れてはいけません。