【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 41,763.46  ▼378.08 (10/31)
NASDAQ: 18,095.15  ▼512.78 (10/31)

1.概況

米国市場は主要3指数が揃って下落しました。寄り付き前に公表された経済指標では、物価指数は市場予想をやや上回るも、労働市場関連指標は市場予想以上に改善を見せ、まちまちな結果となりました。こうしたなか、前日引け後に決算を公表したマイクロソフト[MSFT]やメタ・プラットフォームズ[META]が投資家の期待を超えられなかったことで、相場全体の投資家心理の悪化にもつながり、185ドル安でスタートしたダウ平均は、一時436ドル安まで下げ幅を広げました。一方で、AIをテーマにした成長ストーリーには変わりなく、午後にかけては買い戻しが見られました。

しかし、終盤にかけては、米雇用統計や米大統領選挙といった重要イベントを控えた調整売りに加え、イランが対イスラエルへの大規模報復攻撃を準備しているとの報道もあり、さらなる売りが加わりました。最終的にダウ平均は378ドル安(-0.89%)の41,763ドルで取引を終えました。また、S&P500は108ポイント安(-1.86%)の5,705ポイント、ハイテク株比率の高いナスダック総合は512ポイント安(-2.75%)の18,095ポイントで取引を終えました。

2.経済指標等

9月の米個人消費支出(PCE)コア価格指数は、前年比で+2.7%となり市場予想の+2.6%を上回りました。個人所得は前月比+0.3%と市場予想の+0.4%を下回りました。一方で、個人消費は+0.5%と市場予想の+0.4%を上回りました。先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比1万2000件減の21万6000件となり悪化を見込んでいた市場予想に反し改善しました。第3四半期の雇用コスト指数は前期比+0.8%と、前四半期の伸び(0.9%)から鈍化し、市場予想を下回りました。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は、全11業種のうち公益事業とエネルギーの2業種が上げ、公益事業は1%超上昇しました。一方で、9業種が下げ、情報技術が3.5%超下落したほか、一般消費財・サービス、不動産、コミュニケーション・サービス、素材などは1.5%超下落しました。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄では13銘柄が上昇し、なかでもベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]が2%超上昇したほか、アムジェン[AMGN]とウォルト・ディズニー[DIS]が1%以上上昇しました。一方で、17銘柄が下落し、なかでも前日に7-9月期の四半期決算を公表したマイクロソフト[MSFT]は、市場予想を上回る売上高とEPS(1株当たり純利益)の伸びを記録するも、10-12月期のクラウド売上高が鈍化する見通しが公表されたことで6%超下落しました。そのほか、インテル[INTC]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、ボーイング[BA]は3%以上下落しました。

ダウ平均構成銘柄以外では、オンライン旅行会社のブッキング・ ホールディングス[BKNG]が、予想を上回る売上高とEPSを達成し、4.8%上昇しました。また、個人自動車保険のルート[ROOT]は、第3四半期決算で売上高が前年同期比2.7倍となり、営業損益は黒字に転換したことで、68.9%上昇しました。一方で、SNS運営会社のメタ・プラットフォームズ[META]が、第3四半期決算で市場予想を上回る売上高とEPSを記録しましたが、通期の支出増加のガイダンスが嫌気され、4.1%下落しました。また、配車サービスのウーバー・テクノロジーズ[UBER]は、第3四半期決算で市場予想を上回る売上高とEPSを達成するも、利用者の支払総額や10-12月期の見通しが市場予想を下回り、9.3%下落しました。

5.為替・金利等

長期金利は0.02%低い4.28%となりました。ドル円は円高方向に展開し、152円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国株安を受けて、下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は、ドル円の動きをにらみながらの展開となりそうです。また、米雇用統計の発表を目前に控えるなか、日本市場は三連休前の最後の取引日でポジション調整の動きに警戒が必要です。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)