東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は、前週末から反落となりました。21円安の38,960円で寄り付いた日経平均は、序盤は売りが優勢で推移するも、その後は前週末の米国株市場でハイテク株が上昇したこと等を材料に相場を押し上げました。

前場は寄付き後、早々に本日の安値である38,775円をつけるも、その後は買い優勢で推移しました。米エヌビディア[NVDA]の上昇を背景に、日本でも半導体関連銘柄が指数を押し上げ、前場は129円高の39,110円で取引を終えました。

後場に入ると、上値の重い展開となりました。39,000円台で、一進一退の展開が続くも、引け間際に一転し、最終的には27円安の38,954円で取引を終えました。

新興市場では、東証グロース250指数が4日ぶりに反転、1.4%高となりました。

2.個別銘柄等

日本たばこ産業(2914)が前週末比156円(3.7%)安の4,094円で取引を終え大幅安となりました。カナダで起きたタバコの健康リスクを巡る訴訟で、計325億カナダドル(約3.5兆円)の和解案が提示されたことが明らかとなり、和解金負担を懸念した売りが膨らみました。なお、同訴訟は米フィリップ・モリス[PM]と英ブリティッシュ・アメリカン・タバコと同社の3社に向けてのもので、同社の負担額は未定とされています。

楽天グループ(4755)が4日ぶりに反発となる、前週末比30.7円(3.3%)高の952.1円となりました。傘下の楽天モバイルにおいて、モバイルの契約数が前週18日時点で800万回線を突破したと発表したことが好感され、買いが集まりました。赤字が続いている携帯電話事業の黒字化にむけて、ポジティブな材料と評価されています。

住友林業(1911)が前日比193円(3.0%)高の6,539円と3日続伸となりました。米商務省が発表した9月の戸建て住宅着工件数が前月比2.7%と2ヶ月連続で拡大しており、また前年同月比では5.5%増で、米国で住宅建設事業を手掛ける同社へのインパクトが期待され買いが集まりました。

M&A仲介のストライク(6196)は前週末比170円(3.8%)高の4,655円と2日続伸となりました。国内証券によって、新規の投資判断がされたことが材料となりました。投資判断の根拠は、中期的に2ケタの増収増益の予想に基づくもので、同社の成長性と安定性が市場に再評価されることが鍵としています。

東洋証券(8614)は、前週末比49円(9.2%)安の483円で取引を終え大幅安となりました。前週18日の取引時間中に今期の第2四半期決算速報にて、中間時点での当期純利益が約3倍となる見通しを発表し、前週末は8.6%高となっていたところ、本日は一転して反落となりました。本業の儲けである営業利益は、同速報内では前期比37.0%減を見通しており、先行きの不安感が意識される結果となりました。

その他の銘柄では、総合重機の主要3銘柄が下落しました。三菱重工業(7011)は4.4%安で8日ぶりに反落、川崎重工業(7012)は4.0%安で反落、IHI(7013)は4.5%安で続落となっています。一方で海運3社の川崎汽船(9107)は3.8%高、日本郵船(9101)は1.9%高、商船三井(9104)は1.2%高と軒並み上昇しました。コンテナ船の運賃相場が7月以来下落基調であったところ、下げ止まりをみせていることが材料視されました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は、0.07%安と小幅に反落となりました。TOPIXも0.34%安となり、全体としても売りが優勢で、低下する銘柄が多くみられました。

明日に向けては日米ともに主要企業の決算発表、経済指標、材料視される内容が乏しい中で本日から開催されるIMF・世銀年次総会に注目したいと思います。同総会では、米国と中国を中心とする世界全体の公的債務が今年100兆ドル(約1.5京円)に達すると警告される見通しで、世界的なインフレが鈍化基調にあるなかで、次は財政への意識が強調されそうです。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)