東京大学にエンダウメント型で作られた東京大学応用資本市場研究センター(略称:UTCMR)は、5月にその政策提言第1号として「上場企業の配当を損金算入するべき - 株高効果も」を発表しましたが、本日、政策提言第2号として「東証グロース市場のIPO企業の低成長問題-ハンズオン投資家主導によるM&A活用を軸としたスタートアップ成長支援-」を発表しました。

イノベーションは、各国の経済成長の重要な一部を担います。そしてイノベーションの作り手に占めるスタートアップ企業・ベンチャー企業の存在はとても重要です。アメリカに於いては、20年前のスタートアップ企業が、全上場企業の時価総額の数十パーセントを占めており、スタートアップ企業なくしてアメリカ経済なし、と云っても何ら過言ではありません。これらアメリカのスタートアップ企業は、起業してからずっと成長を続けます。だからこそ、国の経済や社会のイノベーションを推進出来るのです。

翻って日本ではどうでしょう?東証グロース市場に上場した多くのスタートアップ企業は、上場時の規模がアメリカのそれに比べて桁違いに小さい上に、上場後の成長が殆どのケースで全く見られない状況になっています。これは我が国のイノベーションの担い手の観点、経済成長の観点、そして昨今スタートアップ企業へ就職する大学生も多い中で、我が国唯一最大のリソースである人材の効用をどう大きくしていくかという観点からも、極めて重要な問題です。

この問題について、東京大学応用資本市場研究センター(UTCMR)では、多くのそして多様な市場参加者へのヒアリングと議論を重ね、M&A(合併や買収)が、特に投資家主導によるM&Aが、解法になるのではないかとの考えに辿り着きました。この問題は、広く知られている問題であると同時に、主体や個性によって解答がクリアに大きく違う問題でもあります。我が国資本市場、延いては我が国全体の生産性向上のために、今後も様々な関係者との議論を深めて参ります。

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