東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は、続伸となりました。前日比42円高の38,594円で始まった日経平均は、昨日に引き続き日銀による利上げ観測の後退やドル円相場が、1ドル146円台と円安基調で推移したことを材料に買い先行で進みました。

前場は、一進一退で推移しました。10時ごろ、前日の終値である38,552円を割り込む場面がみられるも、下値では買いが入り前場は前日比180円高の38,732円で引けました。

後場に入ると、中東情勢の緊迫化や本日予定されている米国雇用統計など、リスク要因が意識され上値の重い展開が続きました。最終的には前日の83円高の38,635円で取引を終えました。

新興市場では、東証グロース市場250指数が反落、0.5%安となりました。

2.個別銘柄等

川崎汽船(9107)が、前日比223円(9.7%)安となりました。10月1日より開始されていた米東海岸・メキシコ湾岸でのストライキの終結報道を受け、ストライキによってコンテナ船運賃の上昇を見込んだ思惑買いが進んでいたところ、腰を折られる形で急落しています。その他の海運株も同様に下落し、日本郵船(9101)は前日比、516円(9.4%)安、商船三井(9104)は、同329円(6.4%)安で取引を終え、3銘柄が本日の東証プライム下落率トップ3となりました。

セブン&アイ・ホールディングス(3382)が一時、前日比71円(3.3%)高の2,200円まで上昇しました。子会社であるセブン銀行(8410)株の一部を売却し、連結対象から外す方向で検討中といった報道を受け、資本効率の改善や主力のコンビニ事業への集中が期待され買いが集まりました。また、場中にイトーヨーカ堂等のスーパー事業についても、年内に売却手続きを進めるといった報道があり、同社の株価を支えました。なお、セブン銀行(8410)も一時、前日比25.4円(9.1%)高の304.8円まで上昇しました。

決算銘柄では、三陽商会(8011)が前日比252円(10.5%)高の2,646円で取引を終えました。本日11時頃に発表された2025年2月期、第2四半期の連結決算において、中間時点の営業利益は前年同期比17%減の5億9,900万円と減益であったものの、PBR改善計画を具体的に示し、その1つの施策として30億円規模の自社株買いを実施することを発表したことが好感されました。通期での業績予想は据え置かれ、会社予想の営業利益は33億円(前期比8.3%増)とされています。

クスリのアオキホールディングス(3549)は、一時、前日比254円(7.7%)高の3,534円をつけました。3日に発表された2024年5月期、第1四半期決算にて売上、営業利益ともに10%を超える増収増益であったことと、総額200億円(株数にして600万株)を上限とする自社株買いを発表したことから、大幅上昇となりました。市場からは、同社の株主還元の強化はサプライズといった声もあり、株価上昇に寄与しています。

キユーピー(2809)は増収増益であるも、株価は前日比68円(1.9%)安となりました。3日発表の2024年11月期、第3四半期決算にて、連結営業利益は前年同期比2.2倍となる298億円と好決算を示し、通期予想に対する進捗率が88%となったにも関わらず、通期業績が据え置かれたことが売りにつながりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は、中東リスクや週末のイベントを控える中で動きづらい1日となり、終わってみれば前日比0.2%高と小幅な続伸となりました。

来週にむけて、目玉は本日21時30分ごろに予定されている9月の米雇用統計の結果です。非農業部門の雇用者数は、前月比14.8万人増が市場予想とされています(前回、14.2万人増)。本日の発表内容を無難に消化できるかが来週に向けての鍵と考えられます。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)