スペース・シャトルに載って何度でも宇宙に行けたり、遠い惑星までにも宇宙船を辿り着かせることのできる時代になりましたが、一方、今手元にある風船が、5分後にどこにあるかを計算するのはほぼ不可能だそうです。制御の技術は格段に進みましたが、数多くの変数によって流体がどのように時間軸の経緯とともに動くかの予測は極めて困難です。これは高速道路が渋滞しないように入り口を閉鎖するのは簡単ですし、車を運転して日本中どこへ行くのも簡単ですが、東京都内で日中どこか目的地に行く時に、到着時間を確定するのが難しいことにも似ています。
市場の動きも似たものがあるかも知れません。特に何かの情報や心理状態をきっかけに一方向に動き出す時のタイミングやその程度について予測するのはとても難しいものです。いずれ流体力学の手法ももっと進み、市場の動きの解明にも利用できる日が来るのでしょうか?
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。