75日移動平均線を上回ったまま維持できるか

波乱の8月相場が終了し、今週から9月相場に入っていますが、株価は大きく戻しているのが分かります。一般的にはここまで大きく戻すと、底入れしたと考えたくなるところです。ただ、前回指摘したように、75日移動平均線を一気に上回って維持することが難しい状況となっているようです。

と言うのも、9月に入って75日移動平均線を上回って始まりましたが、売り物に押されて陰線を形成しています。また、9月3日も上ヒゲを形成しており、75日移動平均線まで押し返されているのが分かります。

このように75日移動平均線上を上回っても上値を押さえられている理由として考えられるが、7月31日につけた高値です。この時につけた高値は、その後の急落が発生する前につけたもので、いわゆる戻り高値となっています。

そのため、この高値を上回って維持することも、上昇トレンドが発生するためには必要と考えらます。そして、もう1つの理由が、前回も指摘した戻りの勢いの弱さです。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※ 移動平均線は5日、75日、200日を表示

モメンタムの上昇がカギを握る

戻りの強さや弱さを教えてくれるテクニカル指標の代表格が、いつも解説に使っているモメンタムですが、このモメンタムを見るとどうでしょう。前回のコラムでも指摘しましたが、株価は75日移動平均線に接近したところで、上値が重たくなっていますが、その原因がモメンタムにあると思われます。

なぜなら、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が低下を続けていることに加え、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインに接近しており、一向に上昇の勢いが強くなっていないためです。強くなっていないというよりも、むしろ弱くなっていると言ってよいかもしれません。

例えば、9月2日に75日移動平均線を上回ったときにわずかに上向きに変化し、翌3日に小幅安となったにもかかわらず株価は75日移動平均線上を維持しました。しかし、モメンタムとシグナルの両方が下向きに変化しており、0ラインに接近しているのが分かります。

こうした状況から、75日移動平均線を上回っても2本線が上向きに変化して明確に水準を切り上げない限り、株価下落への警戒が必要な状態が続いていると言えるのです。

また、2本線の低下が続くとともに、0ラインを下回って戻せなくなるようなら、200日移動平均線辺りまで下落したり、下回ったりすることが視野に入ってきます。モメンタムの低下が続くあいだ、株価水準が切り上がっていても注意しておきたいところです。