(本内容は、2024年8月22日に実施したハッチの米国株マーケットセミナーの一部を抜粋・要約したものです)
今後の米国株展望に強気な3つの理由
・2024年末のS&P500のターゲットは、5,700ポイントに変更なし。
・強気のシナリオ3つの理由【1】アメリカの企業業績が増益予想【2】2024年後半の米国のGDP成長率は2%超え、景気後退リスクは低い【3】9月からの利下げ予想。
・その他ポジティブな材料として、マーケットの裾野が広がっている(中小型銘柄も上昇している)こと、決算後の企業による自社株買いなどが挙げられる。
・米大統領選挙まで株式市場ではボラティリティは上昇するだろう。
ラザード・ジャパン・アセット・マネジメント 岸田有央氏と岡元兵八郎との対談内容
半導体・生成AI関連業界の今後の展望
・現在半導体業界は約0.5兆ドル、2030年には1.1兆ドルまで成長すると見込まれる成長力の高い業界。
・生成AI業界は投資をした分の見返りはあるのかと疑問視されることがある。現時点、半導体業界は成長局面、エヌビディア[NVDA]の売り上げの半分以上はまだ生成AIの学習に使われている。生成AIは未だ学習中の状況。まだまだ収益化のレベルには達していない。
・マイクロソフト[MSFT]やアルファベット[GOOGL]を含め、生成AI業界でどこが勝ち組になるのかについては、激しいアームズ・レース(軍備拡張競争)の状況。将来的には投資のリターンを得られない負け組企業がでてくる可能性もある。アルファベットのCEOは、「今投資をしすぎるリスクと投資をしないリスクを考えると、投資をしすぎるリスクの方がリスクとしては小さい」と発言している。
・生成AIに関するアハー・モーメント(突然の洞察や発見の瞬間)が2026年くらいに起こり始めるのではないかと予想。2000年のインターネットバブルとAIブームは個人的に体感温度が違う。当時のシスコシステムズ[CSCO]の業績は上がっていないが、PERは160倍くらいになっていた時もある。一方で、現在のエヌビディア[NVDA]のPERは40倍程度。生成AIが学習を終えて、実際に使われる段階になった際にはたくさんの企業がバブル的に増える可能性がある。その際は注意が必要。
エヌビディア[NVDA]の今後の展望
・将来、他社のチップが出てきた時、エヌビディアのシェアは落ちてくるかもしれないが、エヌビディアの優位性は変わらないだろう。CUDA(チップを使う上での必要な言語ソフトウェア)が牙城を築いている。台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC)[TSM]は、競合他社に水をあけつつある。
・インサイダーバイ(企業の内部情報を知る役員、従業員などが自社株を買う事)良いシグナルになり得るが、インサイダーセル(企業の内部情報を知る役員、従業員などが自社株を売る事)はシグナルにはならないと言われている。エヌビディアのフアンCEOの自社株の売却はあまりに気にする必要はないだろう。
エヌビディア[NDVA]以外の生成AI関連企業とは
・生成AI関連企業としてエヌビディアのチップの代替となり得る企業は、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]、マーベル・テクノロジー・グループ[MRVL]、ブロードコム[AVGO]。メモリーを作るエヌビディアを補完しているのがSKハイニクス、サムソン電子、マイクロン・テクノロジー[MU]の3社。製造装置メーカーとしてはオランダのASMLホールディング [ASML]、米国のアプライド・マテリアルズ[AMAT]など。そして日本企業では、東京エレクトロン(8035)、後工程担当の日本のディスコ(6146)などが挙げられる。
・関連企業として、生成AIの開発にはデータセンターを動かす電力が必要になってくるため、発電所、グリッド、変圧器などの需要が高まると予想される。
・ハイパースケーラー(マイクロソフト[MSFT]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、アルファベット[GOOGL]、メタ・プラットフォームズ[META]など)の多額の設備投資には見返りがあるのか?近い将来、現在人間がやっている複雑な仕事(プログラム、翻訳やコールセンター等)を代替することが可能になると考えられており、すべてのハイパースケーラーとは言えないが投資分の恩恵を受ける可能性はある。
・数年先には生成AIは人間を単純労働や危険な労働から解放し、人間はクリエイティブな仕事のみを担当する世界になる可能性。生成AIを搭載したロボットが人間の仕事を代替していくだろう。
・インテル[INTC]が現状からある程度復活できるかどうかはIntel 18A次第。
その他の注目テーマ・銘柄について
・パランティア・テクノロジーズ[PLTR]の優位性と、将来性について。
・インテューイティブ・サージカル[ISRG]のダヴィンチサージカルシステムの進化について。
・アーム・ホールディングス[ARM]のCPUは他社(インテル、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ)に比べて消費電力が少なく、今後使われていく可能性。バリュエーションが高い。