セブン&アイHDが海外企業から買収提案の報に8月19日(月)後場、ドル円相場に大きく円高圧力がかかりました。買収規模が5兆円規模想定だと報じられたことで買収資金として5兆円規模の円買い需要が発生するという思惑が市場を駆け巡ったと見られます。

日本版ブラックマンデーとも称される8月5日の暴落底値から日経平均は勢いよくリバウンドし、下落幅に対して半値以上を取り戻していますが、ドル円の上値は重く下落幅の38.2%戻りできっちり頭を叩かれて再下落となってしまいました。ボラティリティが落ち着いてくれば円キャリートレードは再開するとの見方もありますが、まだ市場が不安定なところに今回の日本企業の買収のニュースが飛び込んできたのです。

日本株もドル円などのFX取引も基本はファンダメンタルズがトレンドを形成していくものだと考えていますが、どこまで上がる、あるいはどこまで下がる可能性があるか、という節目を探る場合はテクニカル分析も重要です。ドル円相場の反発はフィボナッチリトレースメントの38.2%戻りが見事に抵抗となり反落となりました。

振り返ってみれば7月11日、日経平均は史上最高値42,426.77円を示現しましたが、翌日はギャップダウン。その後下落が続くのですが、最高値をつけた日のローソク足は酒田五法の「三川宵の明星」という教科書的な非常に見事な天井のパターンが出現していました。離れ小島「アイランド・リバーサル」という言い方もできるでしょうか。こうしたチャートパターンや計算値が絶対ということではありませんが、チャートはファンダメンタルズでは説明がつかない投資家の心理の変化を先行して示唆することがありますね。また、そういう時にタイミングよく今回のような大型の買収のニュースが入ってきたりするものだから不思議です。まだまだ市場が落ち着きを取り戻したとは思えません。今週23日金曜にはジャクソンホール会合に閉会中審査での植田日銀総裁の発言など市場が注目するイベントも控えています。今は資金管理が重要な局面ですね。