物価高ながら活発な夏の旅行状況
8月になりました。セミの声が響く夏本番です。
6時半のラジオ体操に始まり、アサガオの観察、プール、スイカ、かき氷、読書感想文。夏休みの思い出は尽きません。本屋さんの店先に「新潮文庫の100冊」が並んでいると、今でも思わず手に取って時間を忘れて読みふけってしまいます。
夏休みと言えばお盆の帰省、友人や家族との旅行です。夏はどこか旅に出かけたくなります。日本各地で毎日のように猛暑日を記録するほど、びっくりするくらい暑い日が続いていますが、夏はやはり旅の季節です。
2024年も夏の旅行は非常に活発です。お盆の期間(8月9~18日)の新幹線と在来線の指定席の予約席数は369万席に達し、1日当たりの予約数は37万席と前年を+21%も上回っています(7月25日時点のJR各社の集計)。1994年に統計を開始して以来、最高の数字だそうです。
暮らしの中では、依然として物価の上昇が目覚ましく続いています。庶民感覚としては前年と比べて、あらゆるモノが2~3割以上、高いように感じます。財布のヒモはしっかりと締めざるを得ませんが、コロナ禍の3年間で蓄積された「どこかに行きたい」という旅立ちへの願望は今も途切れることなく続いています。
旅は特別なもの、特別な時間。日常からは切り離されています。2024年の夏は1度だけしかありません。夏のボーナスは過去最高の支給額だそうです。夏休みは文庫本を1冊、かばんに詰めて旅に出かけてみてはいかがでしょうか。
そこで、今回は夏のレジャーや旅に関連する銘柄をピックアップしました。(BtoCの他、ホテルやレストラン向けにBtoB・バックアップ事業を行う企業も対象としています)。
鉄道や格安航空券、業務用食品など、夏のレジャー関連4銘柄
九州旅客鉄道(9142)、九州へ進出する企業増加で苦戦から脱皮
九州を地盤とするJR鉄道会社。国鉄が分割して1987年に発足して以来、過疎化と人口減少による乗客の減少で苦戦を強いられてきた。それが世界最高の半導体製造メーカー、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)[TSM]が熊本・菊陽町に工場建設を発表して以来、状況がすっかり変わった。九州に工場を進出する企業が続出し、TSMCを中心とした企業城下町を形成。近隣の大分、鹿児島、長崎、宮崎にまで経済効果が波及する。日本初のクルーズトレイン「ななつ星in九州」は予約時点で満席の状態が続く。他のJR3社とは一線を画す存在になりつつある。
アドベンチャー(6030)、買収にも積極的な国内No.1の格安旅行券予約サイト
格安航空券の予約サイト「スカイチケット」を運営。中心は国内航空券で取扱い実績では国内No.1。海外航空券やツアー、ホテル予約、レンタカーなど旅行全般のサービスを手広く取扱い、低価格のチケット、旅行ツアーの検索に強いオンライン旅行会社として第1人者に成長。若い世代から圧倒的に支持される。コロナ禍の2020~2021年は苦しんだが、2022年には早くもコロナ前の水準に収益は戻り、今では売上、利益ともに過去最高の水準を大幅に上回る。アプリは2,000万ダウンロードを突破。顧客を世界中に求めて海外旅行代理店の買収を積極化している。
トーホー(8142)、業務用食品卸の分野で国内最大手
業務用食品の卸では国内最大手。外食産業、ホテル、給食事業者を顧客としてそれぞれのニーズに即した業務用食品を調達、配送する。神戸市に本社を置き、西日本や九州を地盤とするが関東以西が主要エリア。筆頭株主は食品卸大手の国分グループ。取扱品は16万アイテムにものぼり、洋食・中華・和食、あらゆる業態向けに業務用食材を仕入れている。高級輸入食材の発掘にも力を入れている。コロナ禍の3年間は赤字転落を余儀なくされたが、コロナ明け初年度の前期は早くも最高益を更新。好業績に沸くホテル、外食ビジネスを裏側で支えている。2030年1月期には売上げ3000億円を目指す(現在2440億円)。
ホシザキ(6465)、今期も連続して最高益更新の見込み
冷凍冷蔵庫、食洗機、ビールサーバー、炭酸飲料ディスペンサーなど、業務用厨房機器を製造する草分け的存在。国内首位の高シェアを有し、目下のところは海外市場の開拓に注力している。M&Aを活用して現地の有力企業を次々と買収。米国、デンマーク、インド、ブラジル、中国、イタリアに進出を果たす。国内と海外の売上シェアが直近では50%ずつとなった。納入した厨房機器の保守、メンテナンスに定評があり、ホテル、飲食店が不具合で困っても電話1本で技術要員が駆けつけ迅速に修理。その評判がシェアをさらに高めることにつながっている。今期も連続して最高益更新の見込み。