株式市場も為替市場も、年初に専門家が予想した通りには動かないものです。年初、2024年は米国の利下げと日本の利上げで日米金利差が急激に縮小することでドル円相場は円高となるリスクが高い、との予想が大勢を占めていましたが、ドル円相場は年初の140円台から7月の161円台まで20円も円安となりました。日経平均もバブル時の最高値を一気に超えて42,500円まで駆け上がったスピードには目を見張るものがありましたが、それがわずか3週間で31,000円台まで急落、高値から日経平均が1万円も下落することになろうとは予想できませんでした。ドル円相場も気がつけば141円台、日本株もドル円相場も年初からの上昇のすべてを吐き出しています。

今年からスタートした新NISA人気からは今年投資を始めたばかりという初心者が多いことが窺えます。SNSを眺めていると、初めて直面する大きな下落相場に狼狽える声も。しかし積立投資枠を使った投資であれば、下落はむしろ今後安く購入できる好機と考えればいいだけのことです。積み立て投資は当初はなかなか資産が積み上がらず、今回のような下落に見舞われれば積み立てた分がマイナスになることもあるでしょう。資産がマイナスとなれば不安が膨らむと思いますが、途中で積み立てるのを止めたりせず、根気良く資産を積み上げ続けていくことで資産が一定の塊となってくれば時間が生み出す効果を実感するものです。私が言いたいのは「予想外に下落したからといって積み立て投資をやめないで」ということです。

正確に相場を予想することは難しく、想定以上のスピードで上がることもあれば予期せぬニュースで急落することもあります。投資家に求められるのは、乱高下に一喜一憂せず淡々と資産を構築する作業を続けることのみ。FXや日経平均先物、オプションなどデリバティブ取引を積極的に手掛けているトレーダーにとっては、下落は利益追求の好機でもありますが、ボラティリティ上昇時にはリスクポジション量を減らすのが鉄則。無理せずこの荒波を乗り切りたいものです。