東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅に続伸となりました。227円安の38,241円で寄り付いた日経平均は10時前に118円安の38,349円まで持ち直しましたが、上値は重く下げ幅を広げると11時過ぎに391円安の38,076円まで下落し367円安の38,101円で前場を終えました。

278円安の38,189円でスタートした後場の日経平均は大きく下げ幅を縮め14時50分前にプラスに転じると、大引け間際に62円高の38,531円まで上昇し結局57円高の38,525円で取引を終えました。

一方でTOPIXが小幅に下げたほか、新興市場も安く東証グロース市場250指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

第1四半期決算を発表したファナック(6954)が一時6.7%高となりました。景気減速で需要が低迷していた中国からの受注が回復すると見込まれることや、想定為替レートを円安に修正したこともあり、1210億円とみていた通期の営業利益の見通しを1430億円に引き上げ、減益予想が一転して増益予想となったことで買いが優勢となりました。

同じく第1四半期決算を発表した九電工(1959)や大同特殊鋼(5471)も買われました。九電工は九州や首都圏で旺盛な工事需要を取り込んだことなどにより第1四半期の営業利益が前年同期比で2.1倍となったことから一時16.5%高となりました。

大同特殊鋼も利益率の高い自由鍛造品の需要が好調だったことなどにより第1四半期の営業利益が前年同期比で15.2%増となったことから一時5.0%高となりました。

パソナグループ(2168)も一時14.7%高となりました。香港のアクティビスト(物言う投資家)であるオアシス・マネジメントがパソナグループ株を5.02%保有していることが関東財務局に提出した大量保有報告書で明らかになったことで上げ幅を広げました。

一方で第1四半期決算を発表した小糸製作所(7276)が一時8.4%安となりました。主力の自動車用照明機器の販売が想定より落ち込むことなどにより580億円とみていた通期の営業利益の見通しを490億円に引き下げ、増益予想が一転して減益予想となったことで大幅安となりました。

同じく第1四半期決算を発表した富士通ゼネラル(6755)も一時12.8%安となりました。エアコンの販売が好調だったことなどにより第1四半期の営業損益は7億円を超す黒字に転換しましたが、市場予想を下回ったことで売りが膨らみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は57円高となりました。昨日の米国市場でダウ平均が反落となったことで一時は390円以上下げる場面もありましたが、節目の38,000円を前に下げ渋ると後場に入って大きく持ち直し小幅高で取引を終えました。そのため38,000円近辺での底堅さが意識されそうです。

なお、決算発表が今週に入って本格化しています。本日も引け後にオリエンタルランド(4661)やTDK(6762)、村田製作所(6981)、JR東海(9022)、ANAホールディングス(9202)などが決算を発表する予定です。

また、日本時間の23時に7月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数や6月の米雇用動態調査(JOLTS)が発表されるほか、30日の米国ではプロクター・アンド・ギャンブル[PG]やメルク[MRK]、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]などが決算発表を予定しています。

さらに明日は昼頃に日銀の金融政策決定会合の結果が発表されます。6月会合で決めた国債買い入れの減額に関する具体策に加えて、追加利上げに踏み切るかが焦点となりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)