高市内閣の支持率が急低下、円安再燃との関係は?

日本の通貨当局によるゴールデンウィークの円安阻止を目的とした為替介入の影響などもあり、米ドル高・円安も、5月までは160円を大きく超える水準には至らなかった。ただ6月に入り、ここ数年の米ドル高・円安のピークである2024年7月に記録した161.9円を更新すると、米ドル高・円安が一段と広がるところとなった(図表参照)。

【図表】米ドル/円の月足チャート(2022年~)
出所:マネックストレーダーFX

このような円安再燃の動きは、高市内閣の支持率低下と共鳴しているようにも感じられる。ここ最近の多くの世論調査で、高市内閣への支持率の急低下が確認されている。円の安値更新と高市内閣の支持率急低下は単なる偶然の一致か、それとも両者の因果関係も注目されるのではないか。

円安と内閣支持率低下との関係は?

「円安は日本経済に悪影響」という見方が強くなっていることが確認されたのは、7月中旬に公表されたNHK世論調査だった。この中で、「円安は日本経済に悪影響」との回答は6割以上で、「好影響」との回答の2割を大きく上回った。

ただし、同じような設問に対する回答を時系列で比較することに限界がある。AIに、多くの世論調査での円安に対する評価の変化について聞いたところ、「円安が日本経済や生活に悪影響という認識は、2022年以降に一気に強まり、その後も弱まっていないというのが大まかな時系列」との回答だった。これを参考にすると、最近にかけての高市内閣支持率急低下の主因を円安再燃とするには無理があるだろう。ただ本当にそうなのか。

高市政権だから円安=変えられるのか?

高市内閣の支持率が最近にかけて大きく低下したのは、国民からの期待の強い物価高対策よりも、皇室典範改正や副首都構想などを優先したことへの不満が影響したとの見方が一般的のようだ。

「国民からの期待の強い物価高対策」の中には円安阻止が入る。ただし高市政権が今回取り組んだいわゆる「骨太の方針」などの経済政策は、逆に円安を促進させたとの評価が基本だろう。

以上のように見ると、高市政権への支持率の急低下は、皇室典範改正や副首都構想などを優先したことなのか、それよりも国民からの期待の強い物価高対策に対する不満、特にその中でも円安長期化への無策、それどころか逆に円安をさらに進めかねないことへの不満の影響も大きくなっているということではないか。

「アベノミクス=円安容認」=後継者の高市政権は円安阻止ができるのか

高市総理は、国民の強い期待が物価高対策に向けられていることは理解していると思う。ただそれと円安阻止との関係についての理解が鈍いなら、それは高市総理が慕ういわゆるアベノミクスの円安容認の残像の影響が大きいのではないか。

多くの識者が指摘しているように、アベノミクス時代と最近ではデフレとインフレ、経済局面が全く異なる。その中でアベノミクス信奉者の高市総理がアベノミクスの通貨安容認を行っていることは、客観的に見ると円にとってマイナス要因なのは明らかで、それを転換できるかが当面の円安終了に向けた最大のテーマではあるだろう。