東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は9日ぶりに大幅反発となりました。471円高の38,139円で寄り付いた日経平均は直後に342円高の38,010円を付けた後上げ幅を広げると10時10分前に1,052円高の38,719円まで上昇しましたが、買い一巡後に伸び悩むと748円高の38,415円で前場を終えました。

790円高の38,457円でスタートした後場の日経平均は14時40分前に1,008円高の38,675円まで上昇した後伸び悩むと引けにかけて節目の38,500円を割り込みましたが、引き続き大幅高で推移すると結局801円高の38,468円で取引を終えています。

こうしたなか新興市場も高く東証グロース市場250指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

第1四半期決算を発表した信越化学工業(4063)や日東電工(6988)、東京製鉄(5423)が買われました。信越化学工業は半導体ウエハーの出荷量が期初時点の想定を上回ったことで第1四半期に営業利益が前年同期比で0.1%増と増益を確保し、会社予想や市場予想を上回ったことから一時9.0%高となりました。

日東電工もハードディスクドライブ(HDD)に使われる材料の販売が伸びるとみられることなどにより通期の営業利益の見通しを1400億円から1800億円に上方修正したことで一時10.2%高となりました。

東京製鉄も原料の値下がりや、製品出荷価格の上昇などを受けて通期の営業利益を300億円から320億円に引き上げたことに加え、自己株式を除く発行済株式総数の6.26%にあたる680万株、100億円を上限とする自社株買いを発表したこともあり20.4%上昇しストップ高となりました。

また、先週末の米国市場で主な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が2%近く上げたことから半導体関連株が高く、東京エレクトロン(8035)が一時4.8%高、アドバンテスト(6857)が一時5.1%高、レーザーテック(6920)も一時3.9%高となりました。

しかし、SCREENホールディングス(7735)は一時7.5%安となりました。生成AI(人工知能)サーバーなどに使う先端半導体向けに製造装置の販売が伸びると見込まれることなどにより通期の営業利益の見通しを1000億円から1050億円に上方修正しましたが、市場予想に届かなかったことで大幅安となりました。

同じく第1四半期決算を発表した日立建機(6305)も一時10.9%安となりました。欧州やインドネシアなどで建機の需要が減ったことなどにより、第1四半期の調整後営業利益が前年同期比で13.5%減となったことで売りが優勢となりました。

エーザイ(4523)も一時14.0%安となり年初来安値を更新しました。米バイオジェン[BIIB]と共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」について、欧州連合(EU)で新薬認可を判断する欧州医薬品庁(EMA)の評価委員会から否定的な見解を受領したと発表したことで売りが膨らみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は801円高となりました。米ハイテク株に買い戻しの動きがみられたことや、6月の米個人消費支出(PCE)物価指数が市場予想に一致する内容だったことで利下げ観測が強まり、先週末の米国市場が大きく上げたことから反発となりました。

また、最高値(42,224円)を付けた11日から先週末までの下落幅が4,500円を超えていたこともあり上げ幅を大きく広げました。そのため調整一巡への期待も出てきそうで、今週は日銀の金融政策決定会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)、日米での決算発表などイベントが目白押しとなるなかでどこまで戻りを試せるかがポイントとなりそうです。

なお、本日も引け後には塩野義製薬(4507)やコマツ(6301)、ファナック(6954)などが決算を発表する予定です。さらに29日の米国ではマクドナルド[MCD]などが決算発表を予定しています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)