市場はダイバージェンスの状態
7月9日のコラムで解説した通り、やはり株式市場はダイバージェンスの状態でした。7月4日、TOPIX(東証株価指数)は1989年につけた史上最高値を更新しました。日経平均よりも市場全体を示すTOPIXが最高値を更新した意義は大きいはずだったのですが、7月上旬の上昇局面は「弱気のダイバージェンス」を発していたのです。
TOPIXは6月17日安値(2,700ポイント)を起点とした上昇によって、もち合い放れから史上最高値を更新に繋がったわけですが、例えば、年初来高値を更新した7月1日から7月11日高値までの9日間の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率は107%程度にとどまっていました。また、この期間に値上がり銘柄数が1,000を超えたのは2日間だけでした。
平たく言うと、プライム市場全体の半分程度の上昇で指数がかさ上げされていた状況だったのです。7月9日のコラムでも解説しましたが、市場全体が同じ方向を向いていない状況で、ひ弱な上げ相場だったと言えます。
ダイバージェンスが生じた背景とは
ではなぜ、そのようなことが生じるかというと、2024年に入ってからの日経平均やTOPIXなどの指数は3月高値まで上値を伸ばす想定外の強さをみせました。
しかし、その後の調整局面では、指数とほぼ同じ動きをした銘柄や、指数よりも強かった銘柄、指数よりも弱かった銘柄と振り分けられたことで、当時から3ヶ月程度たった現在でも動きがまちまちの状態が解消されていなかったわけです。そのため、指数が上昇してもついていけない銘柄がたくさん存在していたと思われます。
例えば、それを移動平均線というテクニカル指標に置き換えると、保ち合い相場から上放れ(下放れ)しそうでしない状況がよくあると思いますが、それは短期線、中期線、長期線が同じ方向を向いていないからなのです。しかし、日柄調整をこなすことでいずれ同じ方向を向き始めます。そのタイミングこそが、放れる好機となるケースが多いと言えます。
そのため、市場に上場している大半の銘柄が同じ方向を向き始めるまでは、指数の力強い上昇はなかなか実現しません。
足元は、7月11日の史上最高値から一気に値幅調整を強いられていますが、たとえここからの日柄調整が長引いたとしても、それはこれまで異なる動きになっている銘柄群が同じ方向になっていくための調整期間であると考えることができます。
したがって、値上がり銘柄数が断続的に1,000を超えるような局面が近いうちにいずれ到来することが予想され、この短期的な調整相場は2024年後半に向けての押し目買いの好機になるかもしれません。