以前このコラムでアフリカのエチオピアの首都アディスアベバの大通りで、iPhoneをひったくられそうになったと書いたことがあります。その後ニューヨークに住む友人にその話をしたところ、そんなのマンハッタンではよくある話だよと言われ、少しショックに思ったことがありました。

私が1990年代前半にニューヨークの証券会社の本社勤務でマンハッタンに住んでいた頃も、当時のマンハッタンは非常に危険な街であり、緊張して移動をしていた記憶があります。知り合いの日本人の駐在員がATMで現金を下ろそうとしたところ、銃を突きつけられ、現金が奪われるというような事件があったことをその被害に遭った方から聞いたこともありました。

そんな犯罪よくある話だよと教えてくれた友人から、最近実際に目撃したショッキングな事件があったと連絡を受けました。日中のこと、マンハッタンの国連ビルの近くで、2人組の男性が1人で歩いていた男性に銃を突きつけ、彼のカバンを奪おうとしたそうです。すると次の瞬間、ウーバーの運転手が自転車でその2人に体当たりでぶつかり、襲われた男性を救ったと言うのです。事件の一部始終を友人は信号待ちの車で目撃していて事件の後半の部分をスマホで撮影していました。その動画を私も見せてもらったのですが、確かにテレビ番組のような瞬間が写っていたのです。

米国では1990年代から始まった「ロー・アンド・オーダー」(邦訳:法と秩序)という、ニューヨーク市警の刑事番組があります。これは、刑事による事件の捜査から始まり、容疑者の逮捕、検察による起訴、そして裁判となり、判決が出るまでが描かれている米国では非常に人気のある番組です。毎回犯罪のストーリーが非常によく組み立てられていて私も時々再放送をみるのですが、こんな犯罪のやり方があるのだと感心させられます。

そんな巧みな犯罪がある米国では、2017年からリアルタイムで犯罪情報を知らせる情報アプリができたそうです。これは米国の60の大都市の警察情報にフィルターをかけ、スマホにダウンロードしたアプリユーザーに犯罪事件の発生等を通知、喚起を促すシステムになっているようです。実際マンハッタンでそのアプリを使っている友人によると、近くで起きた殺人、強盗情報がよく流れてくるそうです。基本アプリは無料なのですが、課金バージョンでは、近所の性犯罪者が近くにいると顔写真付きで出てくるという徹底した安全情報が流れるようになっているとのこと。嘘のような本当の話なのだがと、彼の娘さんの友人の父親の顔写真が性犯罪者としてでていて驚いたと教えてくれました。

さて、先週はトランプ前大統領が、ペンシルベニア州での選挙演説中に襲撃を受けるというショッキングな事件があり、世界中を驚かしました。残念なことですが、日本でも犯罪は私たちの希望に反して減るどころが、更に増えていく嫌な傾向にあります。

私たちは株式投資に於いて常にそのリスクについても考えています。しかし、自身の人生においてのリスクはあまり考えないのではないでしょうか?日々変化する世界情勢、安全を脅かすリスクがある世の中に身を置く私たち一人一人が、自分の人生において身を守るという意識をもつこと。その必要性を改めて考えさせられた今日この頃です。