過去2年は8月中旬まで継続=ポジション調整の米ドル売り
米ドル/円は161円台から、先週は一時155円台まで米ドル安・円高に戻すところとなった。これは、大きく米ドル買い・円売りに傾斜した投機筋のポジションを調整する影響も大きかったのではないか。投機筋の代表格であるヘッジファンドの取引を反映するCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、7月初めに売り越し(米ドル買い越し)が過去最大規模まで拡大したが、先週にかけて2週連続で縮小となった(図表1参照)。
そもそもこの時期は、ポジション調整が広がりやすいタイミングのようだ。CFTC統計の投機筋の円売り越しは、過去2年連続で8月中旬にかけて縮小傾向が続いた(図表2参照)。これは夏休みシーズンで流動性が低下することから、一方向に偏ったポジションを削減することが一因だったのではないか。
CFTC統計の投機筋の円売り越しは先週、15万枚まで縮小したものの、それでも1年前や2年前に比べると、大きく米ドル買い・円売りに傾斜した状況には変わりない。その意味では、大きく米ドル買い・円売りに傾斜したポジションの調整に伴う米ドル売り・円買いは、2023年まで以上のスケールで、さらに8月にかけて続く可能性もあるのではないか。
そうしたポジション調整の米ドル売り・円買いの影響もあったと考えられるが、7月から8月にかけては過去2年連続で比較的大きく米ドル安・円高へ動いた。具体的には、2022年は140円手前から130円割れ寸前まで9円以上、そして2023年は145円から137円まで7円以上の米ドル/円の急落だった(図表3参照)。
冒頭でも述べたように、先週にかけて米ドル/円は162円手前から155円台前半まで6円以上の下落となった。ただ過去2年のケースを参考にすると、これで米ドル安・円高へ戻す動きが一巡したかは不明確であり、155円割れへさらに米ドル続落となるリスクも十分ありうるのではないか。