日経平均、2024年最大の下落幅を記録

7月12日の日経平均の下落幅は1,033円と4ケタに拡大し、2024年最大の下落幅を記録しました。下落率でみると2.45%と2024年2番目の大きさです。なお、2024年に1番下げたのは4月19日の2.66%でした。

4月19日の大幅安は3月高値を起点とした下落相場の底打ちにつながった経緯があり、足元までの上昇相場に転じる分岐点となりました。その一方、7月12日の大幅安は上昇相場の途中に生じたものです。短期的な押し目買いのタイミングになるか、それとも上昇相場から下落相場へ転換する分岐点となるか、判断の分かれるところです。

ローソク足でみる転換点の見極めポイント

ローソク足の複数足分析からみると、4月安値時は4月19日の長い陰線の翌日に陰線のレンジ内で短い陽線を形成しています。これを「陽線はらみ足」と言います。「はらみ足(線)」は、長い陰線の翌日、高値が前日高値を下回り、かつ安値が前日安値を上回る短い陽線となった場合、もしくは長い陽線の翌日、高値が前日高値を下回り、かつ安値が前日安値を上回る短い陰線となった場合を指します。

前日の大きな動きに対し、当日が小動きにとどまったことは、前日の動きが続かなかったことを意味します。前日の動きを否定する動きとはいえ、基調転換の兆しとされています。特に、相場が長く続いた後に現れた場合には転換の可能性が高いでしょう。日経平均の底打ち局面では、過去に比較的みられたパターンだと思います。

一方で、大幅安となった7月12日の前日7月11日のローソク足は短い陰線となり、7月10日の陽線からマドを形成しながら大幅高で出現したものです。しかし、7月12日はマドを形成しながら逆に大幅安となりました。その結果、ローソク足の複数分析では、「宵の明星」と言われるパターンが出現したのです。

「宵の明星」とは、長い上昇相場が続いた後などに陽線が出現し、翌日マドをあけて上に放れて短い陽線や陰線、あるいは十字足となり、次の日にマドをあけて今度は下に放れて陰線となる、この3日間の組み合わせのことです。

このローソク足の複数足分析で重要なのは出現した水準です。確かに、今回の3日間の動きだけを切り取れば「宵の明星」と言え、相場を「点」で捉えるとそうかもしれません。しかし、天井と言えるほど上昇相場が長く続いたでしょうか。6月26日にようやくレンジを上放れ、短期的な上昇相場の中で出現したものである他、3月高値を更新したばかりの局面です。

ローソク足の複数足分析は、「点」で捉える相場判断も重要なのですが、それまでの相場の流れを把握する「線」で捉える相場判断を先にしたほうが良いでしょう。