日本株が勢いづいていますね。先週の「つぶやき」の表題では「祝:日経平均4万円再達成」と書きましたが、昨日までの1週間で41,580円まで上昇しました。米S&P500も連日最高値を更新しています。

この勢いはどこまで続くのでしょうか。生成AIが株式市場の大きなテーマではありますが、さらに他のセクターに波及するかどうかが今後の焦点でしょう。その決め手の一つは個人の資産膨張の恩恵では、と思います。通常は、活発な個人消費がGDPを押し上げ、それが株高を呼びますが、今の米国では、株高が個人消費を下支えするという、逆の因果関係が発生している可能性があります。

米国の個人資産は過去10年で1.9倍になっています。主因は、株式や不動産の膨張です。特に、株式資産の増加のおかげで、個人が受け取る配当収入は、2020年秋に初めて預金利息収入を上回り(記録が残る1960年以降)、過去10年では2.3倍に膨らんでいます。ここにはキャピタルゲインは含まれませんから、株式の売却益を含めれば、金融資産はもっと個人の財布を潤していると考えられます。

さらに、メンタルな効果として、株式や不動産の価格上昇による「資産効果」も観測されます。個人の富が増えると、約3ヶ月後の個人消費が増加する傾向が見られます。1ドルの個人の富の増加は3、4セントの消費を生む、という試算もあります。

つまり、米国では、株価や不動産の資産膨張が個人消費を活発にして、GDPを押し上げ、これがまた株高を生む、という好循環が発生している可能性があります。

もちろん逆も真なり、です。株価が下落すると消費が落ち込むという逆資産効果が発生しますから、負の循環が発生する危険はあります。もっとも、一度覚えたゼイタク癖は抜けにくいことから、資産下落で消費が落ち込むのには時間がかかります。

このように考えると、米国株高がさらなる株高を生むという状況は当面続き、日本株にも好影響を与える可能性が高いのでは、と思います。とはいえ、上がれば上がるほど、下落のリスクも高まります。常に一定のリスクヘッジを念頭に置きつつ、長期保有で投資を続けたいところです。