モトリーフール米国本社 – 2024年7月2日 投稿記事より
次のエヌビディア[NVDA]を探す、投資機会はソフトウェア企業に
2023年に、アーク・インベストメント・マネジメント(以下、アーク社)のキャシー・ウッドCEOは人工知能(AI)をめぐる次の大きな機会はソフトウェア企業にあり、エヌビディア[NVDA]のような大手半導体メーカーが製造する半導体に1ドル支払われるごとに、ソフトウェア企業には8ドルの収入がもたらされることになると予測しました。
アーク社は、プライベートファンドや上場投資信託(ETF)を含む複数のファンドを通じて、その予想を反映した運用を行っています。例えば、アーク・ベンチャー・ファンドでは、openAIやアンスロピック、さらにはイーロン・マスク氏率いるxAIといった未公開AIソフトウェア企業に積極的に投資しています。また、テスラ[TSLA]はアーク社の旗艦ファンドであるアーク・イノベーションETFで最大の保有銘柄です。ウッド氏はテスラが開発する自律走行/自動運転ソフトウェアにより、同ETFはAIに関する世界最大の投資機会であると述べています。
AIソフトウェアに関するウッド氏の予測が正しければ、今後数年間で多くの企業が勝ち組となる可能性があります。その中でも最大の勝者となる可能性があるのが、クラウドストライク・ホールディングス[CRWD]とメタ・プラットフォームズ[META]です。
クラウドストライク・ホールディングス[CRWD]:AIを活用したサイバーセキュリティ企業
クラウドストライク・ホールディングス[CRWD]は、世界で最も優れたサイバーセキュリティ企業の1つです。実際に株価があと14%上昇すれば、同社の時価総額は、現時点の業界リーダーであるパロアルト・ネットワークス[PANW]の1040億ドルを上回ります。クラウドストライク・ホールディングスの成功を支えているのは、独自の軽量なセキュリティ・アーキテクチャと、AIを活用して攻撃を自律的に阻止する機能です。
クラウドストライク・ホールディングスのAIモデルは、毎秒1億8000万件を超えるIoA(Indicator of Attack:攻撃の痕跡)について判断を行います。同社のAIモデルは毎日2兆件を超えるセキュリティイベントによって訓練を重ねており、クラウドストライクの顧客が増えれば増えるほどその数も増加し続け、競合他社に対する同社AIの優位性は高まる一方です。
これらすべてはクラウド上で行われます。クラウドストライク・ホールディングスの機能を利用すれば、企業は組織内のすべてのデバイスに重いプログラムをインストールする必要がなくなります。その代わりクラウドに接続され、従来のサイバーセキュリティ・ソフトと比べて最小限の処理能力しか必要としない、軽量のセンサーをインストールします。
クラウドストライク・ホールディングスは設立当初から、プラットフォームを通じたサイバーセキュリティというアプローチを採用しています。これは、クラウドセキュリティ、プライバシー保護、エンドポイントセキュリティといった各分野に特化した異なるプロバイダーが存在するという、それまでの業界標準とは大きく異なります。クラウドストライク・ホールディングスは、28のモジュールを通じてあらゆる分野をカバーしており、すべての企業がすべての分野を必要とするわけではありませんが、直近の2025年度第1四半期(2025年2~4月期)時点では、顧客の65%が5つ以上のモジュールを利用しています。
クラウドストライク・ホールディングスがインターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)に依頼して実施した調査によると、企業がサイバーセキュリティに関するニーズを1つのプラットフォームに集約するために、1ドル投資するごとに6ドルの節約になります。つまり、クラウドストライクに乗り換えることは最高レベルのセキュリティを得られるだけでなく、経済的にもメリットがあるのです。
クラウドストライク・ホールディングスの第1四半期の年間経常収入は36億ドルでしたが、経営陣は、この数字が今後5~7年間で177%増加して100億ドルになると見込んでいます。AIは猛スピードで進化しており、それによってクラウドストライクのセキュリティ機能が向上するだけでなく、新たな脅威が生まれ、企業のサイバーセキュリティ支出が増加することを考えると、この予想さえも保守的かもしれません。
メタ・プラットフォームズ[META]:ソーシャルメディアの巨人からAI開発企業へ
メタ・プラットフォームズ[META]はFacebook、Instagram、WhatsAppといった主要なソーシャルネットワークを擁し、毎日32億人が同社のサービスを利用しています。同社は既にAIを活用しており、FacebookやInstagramの各ユーザーのためにコンテンツのフィードを調整し、それぞれのユーザーに最も関連性の高い投稿が表示されるようにしています。2023年には、この機能のおかげで両プラットフォームのエンゲージメントが増加し、メタ・プラットフォームズに莫大な広告収入をもたらしました。
しかし、同社にとってさらに大きなAI機能を活用できる場は、Llamaと呼ばれる大規模言語モデル(LLM)かもしれません。Llamaは世界最大のオープンソースモデルであり、開発者は独自のAIアプリケーションを構築するのに、無料で利用することができます。一方でメタ・プラットフォームズにとっては、テストをクラウドソース化することで、改良スピードを速めることができます。Llamaはメタの既存プラットフォーム向けに新たなAI機能を生み出すためのカギとなるため、これはとても重要です。
例えば、メタ・プラットフォームズは2023年に、Facebook、Instagram、Messenger、WhatsAppからアクセスできる「Meta AI」と呼ばれるチャットボットを発表しました。Meta AIは他のチャットボットと同様に、複雑な質問に回答したり、画像を生成したりできるだけでなく、グループチャットに追加してお勧めのレストランや旅行を提案したり、プレゼントのアイデアを出すこともできます。Meta AIは、現在はLlama3を搭載していますが、同社は既に次世代モデルの訓練を進めており、さらに優れた機能が期待されます。
最終的に、メタ・プラットフォームズのアプリを利用するすべての企業は、Meta AIをベースにパーソナライズされた独自のチャットボットを持つようになり、顧客からの問い合わせに対応したり、もしかしたら売上処理もしてくれるかもしれません。これは、メタ・プラットフォームズにとって新たな収入機会となるはずです。
また、メタ・プラットフォームズ株の最大の長所は、株価が割安なことです。12ヶ月実績1株当たり利益(EPS)17.41ドルに基づくと、株価収益率(PER)は28.9倍です。これは、ハイテクセクターを中心とするナスダック100指数のPER31.9倍に対して9.4%のディスカウントとなっています。
ウォール街が予想する2025年EPSの21.59ドルに基づくと、PERはわずか23.3倍です。つまり、ハイテクセクター全体と同水準のバリュエーションになるだけで、メタ・プラットフォームズの株価は2025年末までに36.9%上昇する可能性があるということです。
AIソフトウェアに関するウッド氏の予測が正しく、そしてシナリオ通りに事が運べば、AIによる全く新しい収益機会が開かれるでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。フェイスブックの元市場開発担当ディレクター兼スポークスマンであり、メタ・プラットフォームズのMark Zuckerberg CEOの姉であるRandi Zuckerbergは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Anthony Di Pizioは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はクラウドストライク、メタ・プラットフォームズ、エヌビディア、パロアルト・ネットワークス、テスラの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。