東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅反落となりました。373円安の38,440円でスタートした日経平均は寄り付きをほぼ高値に下げ幅を広げると10時30分前に858円安の37,956円まで下落しましたが、節目の38,000円を割り込んだところで下げ渋るとやや持ち直し708円安の38,106円で前場を終えました。

736円安の38,077円でスタートした後場の日経平均は13時40分前に864円安の37,950円まで下落しましたが、前場同様に38,000円を割り込んだところでは底堅く、その後やや戻すと結局712円安の38,102円で取引を終えています。

こうしたなか新興市場も安く東証グロース市場250指数が小幅に下落となっています。

2.個別銘柄等

トヨタ(7203)が一時3.4%安となりました。量産に必要な「型式指定」の認証不正が発覚して生産を止めている3車種について7月末まで停止を継続すると明らかにしたことや、認証不正の影響で高級車「クラウン」の新型車の発売を延期するとしたことなどを嫌気した売りが出ました。

また、他の自動車株も安く、日産(7201)が一時3.3%安、ホンダ(7267)が一時3.6%安、マツダ(7261)が一時4.3%安、SUBARU(7270)も一時2.9%安となり、日産とマツダは年初来安値を更新しています。

三井ハイテック(6966)も一時8.5%安となり年初来安値を更新しました。円安の効果もあり第1四半期の営業利益は前年同期比で3.9%増となりましたが、通期予想に対する進捗率が18.9%にとどまったことで業績の下振れを警戒した売りが出ました。

KADOKAWA(9468)も一時10.2%安となりました。動画配信サービス「ニコニコ動画」など、グループ全体で発生しているシステム障害の復旧に1ヶ月以上かかる見込みで、出版事業などにも影響が出ていると発表したことで売りが膨らみました。

上期決算を発表したエイチ・アイ・エス(9603)も一時9.0%安となりました。海外旅行予約が好調で上期に上振れした分を通期予想に反映し、通期の営業利益の見通しを100億円から110億円に上方修正しましたが、下期の見通しが67億円から52億円に下方修正されたことで大幅安となりました。

美容機器を手掛けるヤーマン(6630)も一時7.4%安となり年初来安値を更新しました。中国の景気減速や日本製品の不買運動の影響で美容家電の販売が落ち込んだことで2024年4月の営業利益が前期比で93.2%減となり、会社予想を大きく下回って着地したことから売りが優勢となりました。

一方でファンケル(4921)が一時21.6%高となり年初来高値を更新しました。キリンホールディングス(2503)がファンケルに完全子会社化を目的としたTOB(株式公開買い付け)を1株あたり2,690円で実施すると14日に発表したことで上げ幅を広げました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は712円安となりました。先週末の米国市場でダウ平均やS&P500株価指数が下落となったことに加え、フランスの政治混迷を受けて先週末の欧州市場で主要な株価指数が大幅安となったことから大きく下げ幅を広げました。

38,000円を小幅に割り込んだところでは押し目買いが入り下げ渋りましたが、4月以降サポートとなってきた100日移動平均線(38,542円)や一目均衡表の雲の下限(38,347円)を割り込んだことから警戒ムードが強まりそうで、明日も売りが優勢となった場合には引き続き38,000円を維持できるかがポイントとなりそうです。

なお、本日の日本時間の21時30分には6月のニューヨーク連銀製造業景況指数が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)