東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は、3日続伸で取引を終えました。寄付きは前日の米国株安を背景に9円安の39,357円と小反落で始まりました。寄付き後すぐに小幅に上昇に転じるも、以降は弱含み軟調に推移しました。米国市場での半導体株安が日本市場にも引き継がれ、半導体関連銘柄の下落が相場の重石となり、また前引けにかけて下げ幅を拡大し前場は254円安の39,112円で取引を終えました。
前場終値を底に、後場は総じて下げ幅を縮小する展開となりました。15時前に前日終値まで戻すと引けにかけて小幅に上昇し、最終的には4円高の39,372円で小幅に上げて取引を終え、結局本日は、いってこいとなりました。
新興市場では、東証グロース250指数が続落、0.3%安となりました。
2.個別銘柄等
防衛費増額のための防衛特別法人税(仮称)の導入が伝わったことから、防衛関連銘柄に買いが集まりました。9日に国内証券による目標株価の引き上げのあった川崎重工業(7012)が10.3%高で大幅続伸となりました。三菱重工業(7011)は4.1%高、IHI(7013)は6.2%高でともに反発し取引を終えています。
花王(4452)はアクティビストで知られるオアシス・マネジメントが同社の株式を5.23%保有していることが明らかになり、一時2.4%高を付け反発となりました。オアシス・マネジメントは4月にも同社株の保有、声明文を発表しており既に織り込み済みとの見方もあり株価は伸び悩む展開となりました。
サイゼリヤ(7581)は1.0%安をつけ、反落となりました。前日10日にランサムウエアによる不正アクセスによって取引先業や従業員等、合計で約6万件の個人情報が漏洩した可能性があると発表したことで、事業への影響が懸念され売られる展開となりました。
生命保険大手のT&Dホールディングス(8795)は国内証券による投資判断の引き上げを受けて、3.4%高、4日ぶりに反発し取引を終えています。
前日の米国市場におけるSOX(フィラデルフィア半導体株)指数が2.5%下落したことをを受けて、日本の半導体関連銘柄は軒並み下落となりました。ディスコ(6146)は3.7%安で大幅反落、SUMCO(3436)は1.9%安、レーザーテック(6920)は1.4%安で取引を終えています。
その他の銘柄では、ゲーム事業の成長期待からソニーグループ(6758)が一時1.8%高をつけ上場来高値を更新し、3日続伸となりました。コーセー(4922)はタイの高級化粧品会社を130億円で買収することを発表し、海外事業の拡大が期待され一時2.0%高をつけ4日続伸となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
明日に向けて、11月の米CPI(消費者物価指数)に注目が集まります。市場予想では、ヘッドラインは前年同月比2.7%上昇、コアは同3.3%上昇と、前月から概ね横ばいでの推移が予想されています。ターゲットである2%まで距離のある状況が続いており、利下げのペースに影響を及ぼす可能性も考えられます。
市場予想通りであれば無難に消化されると考えられますが、上振れの場合は利下げの後ろ倒しが意識され、12月好調である米国株式市場の腰を折る可能性が高いことに注意したいところです。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)