モトリーフール米国本社、 2024年6月11日投稿記事より

バークシャー・ハサウェイは「普通」の企業とは違う

ウォール街で注目を集める人物の名前を1人挙げるとしたら、バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]のCEOを務めるウォーレン・バフェット氏でしょう。バークシャー・ハサウェイは長期的に非常に高いパフォーマンスを上げており、バフェット氏は「オマハの賢人」とも呼ばれています。バークシャー・ハサウェイのポートフォリオに含まれる銘柄を参考にして投資決定をする投資家もいれば、バークシャー・ハサウェイの株式を買う投資家もいるでしょう。

ウォール街の生きた伝説から利益を得ることを考えたら心が躍りますが、バークシャー・ハサウェイが「普通」の企業ではなく、同社の株式を買うことは特定の投資家にしか向いていないことを理解する必要があります。バークシャー株の購入を検討する前に、同社がどのように運営されているのか、詳しく見てみましょう。

今世紀に入り株価は1,000%上昇

まずは同社の功績について考えてみましょう。21世紀に入って以降、バークシャー・ハサウェイの株価は概ね1,000%上昇しています。S&P500種指数に連動する上場投資信託(ETF)のSPDR S&P500指数ETFが同期間に「わずか」260%しか上昇していないことを考えると、これは驚くべきパフォーマンスです。配当を再投資した場合のトータルリターンは約460%にとどまり、配当を支払っていないバークシャー・ハサウェイの上昇率を大幅に下回ります。

バークシャー・ハサウェイのアウトパフォームは、バフェット氏によるものです。同氏は優れた投資機会を見出す才能と、困難な時期もその銘柄を手放さない精神的な強さがあることを何度も繰り返し証明してきました。そのおかげで、バークシャー・ハサウェイは投資先企業の長期的成長から恩恵を受けてきました。

しかし、バフェット氏の実際の投資アプローチは少し変わっています。同氏は経営が優れた企業を、株価が妥当なタイミング、より良いのは、投資家から嫌われているタイミングで買うことを好みます。そして、既存の経営陣に経営を任せ、例えば業績不振が続いているなど、必要なときだけ介入し、それ以外はほとんど干渉しません。バークシャー・ハサウェイが直接買収した企業であれ、株式投資をしている企業であれ、このやり方は変わりません。

株式の配分把握は困難

バークシャー・ハサウェイは、膨大な数の子会社を持つコングロマリットです。多くの企業に株式投資も行っていますが、そうした企業にとっては単なる大株主にすぎません。バークシャー・ハサウェイの株式を買うということは、特定の企業に投資するというよりも、バフェット氏の投資アプローチに投資するということになります。過去のパフォーマンスを考えたら、これは良い判断でしょう。しかし、すべての投資家にとって正しい判断とは言えないかもしれません。

例えば、保有する企業について深く掘り下げ、事業内容について詳しく理解したいと考えている投資家であれば、バークシャー・ハサウェイの株式を買っても不満を抱くだけです。バフェット氏は秘密主義者として知られているだけでなく、バークシャー・ハサウェイが所有する企業の数は膨大で、驚くほど多様性に富んでいます。例を挙げれば、家具販売会社、電力会社、塗料会社、鉄道、金属部品メーカー、パイプライン事業者などを所有しています。さらに、ガイコ(GEICO)をはじめ、株多くの保険会社を所有しています。バークシャー・ハサウェイが所有する企業には、バフェット氏が気に入って購入したという以外に共通点はありません。また、バークシャー・ハサウェイはほとんどの子会社について、あまり詳しい情報を開示していません。

こうした子会社に加えて、株式ポートフォリオがあります。このリストも多岐にわたり、かつ、バフェット氏らが株式を売買するたびにかなり頻繁に入れ替わります。長期保有銘柄にはコカコーラ[KO]やシェブロン[CVX]などがあります。一方で、パラマウント・グローバル[PARA]については最近全株を売却し、バフェット氏は多額の損失を出した誤った投資だったと認めています。また、バークシャー・ハサウェイは定期的に売買を行っているため、株式ポートフォリオを常に正確に把握することは不可能です。

ここで重要なポイントは、バークシャー・ハサウェイの株式に投資すると、その銘柄に対するコントロールを放棄することになるということです。要するに、バフェット氏と同氏のチームに資金を預け、運用を任せるということです。株式投資というよりも投資信託に近いでしょう。ポートフォリオを自分でコントロールしたい人にとって、バークシャー・ハサウェイのビジネスモデルは向いていないかもしれません。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Reuben Gregg Brewerは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、バークシャー・ハサウェイ、シェブロンの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。