米ドル/円 米利下げ予想が後ずれしても頭の重い展開か 週間予想レンジ:154.50~157.50

先週(6月3日週)はやや波乱の展開

先週の米ドル/円は陰線を形成し、一旦154.544円をトライしてから156.70円で大引した。週足では「スパイクロー」のサインを形成後、やや波乱し、また場合によっては再度支持ゾーンを確認できたと解釈される。しかし、米利下げ予想が後ずれした分、そう言い切れない側面も強い。

今週(6月10日週)は頭の重い構造を再確認できるか

5月16日のサインが効いてくるのであれば、早期の大幅な続伸が望ましいと考えられる。5月27日週のモメンタム限定に6月3日週の一旦安値トライを加えると、今週は頭の重い展開になることが想定しやすい。6月7日の大幅な切り返しなしでは、米ドルは弱かった。米雇用統計による利上げ後ずれの観測で支えられていた分、構造上の強さではなかった。今週の日銀会合における政策修正の可能性も円売りを牽制するだろう。

テクニカル視点:5月高値更新の有無が焦点に

5月1日の米ドル/円は、大陰線をもって下放れを果たしたため、4月29日の大陰線が示したトップアウトのサインを証明した。この視点が否定されない限り、2024年の円安ピークがすでに確認されたことになる。

6月3日週に一旦154円台半ばの打診があったため、本来は5月高値157.79円をもって切り返しの終焉を証明する値動きであった。しかし、6月7日発表の米雇用統計による米利下げ観測の後退に支えられた形で米ドルが急反発し、反落波動の一旦休止を示した。

一方で、5月3日の安値を起点とした切り返しは、ジグザグ構造としてすでに5月29日の高値をもって終焉したのであれば、先週末の切り返しが強くても5月高値前後にて再度頭が重くなるだろう。直近の「インサイド」のサインや6月7日の大陽線がもたらした上放れがあっても、早期に高値を追う展開にならなければ、かえって頭の重い構造を証明することになる。

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

豪ドル/円 頭の重さが確認され、レンジ変更に入る公算が高い 週間予想レンジ:102.50~105.00

先週(6月10日週)は弱含みの変動を示し、頭の重さを示唆

先週の豪ドル/円は週足では緯線を形成し、さらに過去2週間の安値を更新していた。弱含みの値動きとなり、頭の重さを示唆した。6月4日の大陰線が目立つ。

今週(6月10日週)は下値余地限定で、頭の重い展開

豪ドル/円は6月4日に大きく反落、5月16日の安値を一旦割り込み、頭の重い展開となった。米ドル/円の値動きと連動した側面があったものの、豪ドル/米ドルの反落で6月7日も弱い値動きに留まり、しばらく保ち合いの先行を示唆した。

テクニカル視点:大きな「インサイド」を形成し、上放れは困難か

豪ドル/円の日足では、5月31日の切り返しによって5月30日の陰線が「フォールス・ブレイクアウト」、即ちサポートゾーンの確認を果たしたことになり、上放れする構造を一旦形成した。しかし、5月末の高値は4月末の高値を更新できず、6月3日週の反落で地合いを悪化させた。

5月29日の高値トライは「フォールス・ブレイクアウト」だったのであろう。6月4日の大陰線が支配的な存在となり、目先の値動きまで「はらみ」、大きな「インサイド」のサインを形成しているが、上放れしていくにはハードルが高いと考えられる。そのため、保ち合いの先行が続くだろう。

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成