◆先週木曜日、東京で初雪が降った。平年より40日早く、11月の初雪は54年ぶり。11月の積雪となると1875年の統計開始以来初めてという。もちろん暦の上では立冬は過ぎているものの、11月下旬はまだ晩秋と言えなくもない。雪が降るような本格的な冬の到来には少し早い。季節外れの初雪を降らせたのは、関東上空に流れ込んだ強い寒気のせい、とひとことで済んでしまうが、なにしろ記録的な出来事である。もう少し詳しい背景を尋ねてみよう。
◆気象庁の説明によると、最近は北極圏から強い寒気が流れ出しやすい状態が続いていたらしい。北極圏から流れ出した寒気は、これまでシベリア付近に蓄積されていたが、先週に入ってから偏西風が日本付近で南に大きく蛇行し、偏西風の流れに沿って真冬並みの強い寒気がさらに南下、関東甲信などの上空に流れ込んだということである。
◆ではどうして北極圏から寒気が南に流れ出しやすい状態が続いているかといえば、北極付近で気圧が高くなる一方、日本付近など北半球の中緯度の地域で気圧が低くなる「負の北極振動」と呼ばれる現象が起きているからだというのだ。「負の北極振動」の反対が、北極付近で気圧が低く、中緯度の地域で気圧が高くなる「正の北極振動」。「正の北極振動」が起きると暖冬になり、「負の北極振動」が起きると厳冬になるという。
◆なんだか難しい理屈だが、僕はもっとシンプルな理由があるような気がする。それは「熱」を相場に奪われたから。相場に「熱」を大量にもっていかれたので、ぽっかり空いたスペースに寒気が流れ込んだ...という説明はどうだろう。日経平均は一時年初来高値を更新し7日続伸。株高の震源地、米国では感謝祭の休場明け先週金曜日にダウ平均、S&P500、ラッセル2000が続伸し、ナスダック総合も反発。4指数ともにそろって史上最高値を更新した。まさに株式相場は「記録的」な熱さだ。その反対にこの冬が「記録的な」厳冬になれば僕の説にも信憑性が...出ない?