退職代行サービスが伸びているのだそうです。「退職代行」で検索するとズラリと退職代行サービス業者の比較サイトがヒットします。現状では100社を超えるまでに拡大している業態とあって利用者も増えているのでしょう。退職の意思くらい自分で伝えればいいではないか、という指摘もご尤もですが、私も会社員勤めの経験があり、会社を辞める時はずいぶん思い悩み時間がかかったものです。自筆の退職願をオフィスの引き出しに潜め、部長に提出する勇気が出るまでにも数ヶ月要した記憶があります。
なぜ今、退職代行サービスが伸びているのでしょうか。「退職の意思を伝えても会社を辞めさせてもらえない」「ハラスメントを受けていて会社の人と会いたくない」「有給消化、未払賃金交渉」など利用者の動機は様々ですが、要はパッと辞めても次があるという時代になったということではないでしょうか。
いよいよ日本でも賃金上昇の機運が高まっていますが、インフレというだけではなく労働力確保のために必要だという側面もあるでしょう。企業側としては辞めてもらいたくないが、雇われる側とすればもっといい条件の会社がある、圧倒的な売り手市場となっています。そしてZ世代が重視する「タイパ(タイムパフォーマンス)」。無駄な時間を使いたくない、時間は効率的に使いたいというデジタルネイティブ世代にとって、私が経験したような退職の経緯は効率が悪いものに映るでしょう。なかなか辞めさせてくれない会社とのやり取りに時間を使うなら別のことに時間を使いたい、ということなのかもしれません。私の会社員時代にはなかった退職代行サービス隆盛、次はどんなサービスが来るでしょうか。