モトリーフール米国本社、 2024年5月12日投稿記事より

株価は5年で390%上昇

人工知能(AI)とアクセラレーテッド・コンピューティング・データセンターを原動力とする強気相場が過熱しています。今のところ、エヌビディア[NVDA]が勝者として傑出しており、株価は過去5年間で1,850%という驚異的なパフォーマンスを上げています。

しかし、市場をアウトパフォームしている半導体銘柄はエヌビディアだけではありません。ブロードコム[AVGO]の株価も、過去5年間で390%上昇と絶好調です。データセンターインフラのアップグレードが進み、AIやアクセラレーテッド・コンピューティングに関連する銘柄の人気が高まるにつれて、ブロードコムの株価も大幅な上昇が期待されます。詳しく見てみましょう。

幅広いAI関連製品を網羅

ブロードコムが数ヶ月前に発表した2024年度第1四半期(11~1月期)決算では、ネットワーキング向け半導体事業の急成長が明らかになりました。同事業は第1四半期に前年同期比で46%成長し、通期では35%成長が見込まれています。背景には、アルファベット[GOOGL]をはじめとする大口のデータセンター顧客が、ブロードコムのカスタムシリコンAIサービスへの依存度を高めていることがあります。

第1四半期の半導体売上高の半分近くは、ネットワーキング事業によるものでした。他の事業セグメント(スマートフォン、通信、産業用半導体)が2024年度にやや失速する可能性があることから、ブロードコムは、データセンター向けAI半導体の市場リーダーとして2024年を終えると思われます。半導体部門全体では、2024年度は前年比で1桁台半ば~後半の成長が見込まれます。

ブロードコムにAI分野での成功をもたらした最大の要因は、Jericho3-AI FabricチップとTomahawk 5 Ethernetスイッチチップです。どちらのチップも、データセンターに流入する膨大なデータを処理するサーバーを動かすのに使われます。ブロードコムの顧客はこれらのチップのおかげで、数万個のGPUチップ(エヌビディア製を含みます)をつなぎ合わせ、AIのトレーニングを実行することができるのです。また、AIモデルがますます大きくなり、トレーニング済みのAIモデルを利用する顧客が増えるのに伴い、ブロードコムは100万個ものGPUをつなぎ合わせ、未来の巨大なスーパーコンピューターを構築することにも取り組んでいます。

ソフトウェア事業も

しかし、最近のブロードコムは、単なる半導体とコンピューティングハードウェアの会社以上の存在となっています。2023年後半に、企業向けクラウドコンピューティング・ソフトウェアを手掛けるVMウェアを大型買収して以降、現在は、新しいチップをすべてインストールした後にデータセンター顧客が必要とする管理ツールも提供しています。ブロードコムの企業向けソフトウェアポートフォリオには、Private AI Foundationも含まれています。これは、VMウェアのCloud Foundationと同様に、エヌビディアや他の企業と協力し、企業が新たに獲得したAI機能を運用する上で必要なすべてのハードウェアツールとソフトウェアツールを統合しています。

これにより、ブロードコムはAI向け半導体企業としてだけではなく、AIソフトウェア企業としても有力な投資先となっています。

補完事業を買収・育成

ブロードコムの長年の株主は、同社が決して急成長する企業ではないことを知っています。その主な理由は、同社が高度に多角化されているためです。しかし同社は、全社的に成長できないことを収益性で補っています。実際に、これはホック・タンCEOの経営の特徴でもあり、補完的な事業を買収し、買収した事業をスリム化させることで最も収益性の高い中核事業に仕上げ、プライベートエクイティとして扱っています。

VMウェアに対しても、まさに同じことが行われており、小規模な事業を切り離して売却したり、主要顧客に集中するといった取り組みが進められています。これには賛否両論ありますが、かつては停滞していたVMウェアの事業は、実際に再び成長モードに移行しているとみられます。タンCEOをはじめとする経営陣は、VMウェアの四半期売上高が今期いっぱいは2桁の成長が続くと見込んでいます。

ほんの数ヶ月前まで、筆者はブロードコムを半導体関連のトップ銘柄として買い推奨することには慎重でした。しかし、大手ハイテク企業(メタ・プラットフォームズ[META]、アルファベット、アマゾン・ドットコム[AMZN]など)の決算発表を見て、2024年以降にデータセンター支出の大幅増が予想されることから、考えが大きく変わりました。

現在、ブロードコムの12ヶ月実績株価フリーキャッシュフロー倍率は約31倍であり、第1四半期決算発表時点とほぼ同水準にあります。しかし、今後数年間はデータセンターやAI関連で活発な新規投資が見込まれることから、ブロードコムは半導体とソフトウェアの両面で大勝ちする可能性があります。そのため、これまで市場をアウトパフォームしてきた実績を考えると、足元の株価は長期的に見てかなり割安と思われます。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アルファベットの幹部であるSuzanne Freyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。アマゾン・ドットコムの子会社であるホールフーズ・マーケット元CEOのJohn Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。フェイスブックの元市場開発担当ディレクター兼スポークスマンであり、メタ・プラットフォームズのMark Zuckerberg CEOの姉であるRandi Zuckerbergは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Nicholas Rossolilloと同氏の顧客は、アルファベット、アマゾン・ドットコム、ブロードコム、メタ・プラットフォームズ、エヌビディアの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアルファベット、アマゾン・ドットコム、メタ・プラットフォームズ、エヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はブロードコムの株式を推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。