東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日ぶりに反落となりました。298円安の38,107円で寄り付いた日経平均は10時20分に369円安の38,036円まで下落しましたが、節目の38,000円を前に下げ渋るとやや持ち直し216円安の38,189円で前場を終えました。

さらに下げ幅を縮め140円安の38,264円でスタートした後場の日経平均は13時前にプラスに転じましたが、27円高の38,433円で伸び悩むと再びマイナスとなり結局131円安の38,274円で取引を終えています。

また新興市場も安く東証グロース市場250指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

レーザーテック(6920)が一時17.9%高となりました。半導体の微細化に対応したマスク検査装置などの出荷が順調に進んだことや円安の効果もあり第3四半期の営業利益が前期比で2.1倍となったことで買いを集めました。

本決算を発表した北陸電力(9505)も一時8.8%高となり年初来高値を更新しました。燃料費の下落分を電気料金に反映するのが遅れることで生じる「期ずれ差益」が縮小することなどで2025年3月期の営業利益は前期比で56.5%減となる見通しですが、市場予想を上回ったことで大幅高となりました。

また、同じく本決算を発表した東北電力(9506)と九州電力(9508)も2025年3月期の営業利益が減益となる見通しを公表したものの市場予想を上回ったことで買われ、東北電力が一時9.5%高となり年初来高値を更新したほか、九州電力も一時10.3%高となっています。

住友林業(1911)も一時10.5%高となり上場来高値を更新しました。米国で分譲戸建て住宅の販売が好調で第1四半期の営業利益が前年同期比で66.8%増と大幅な増益となったことから買いが優勢となりました。

一方で日揮ホールディングス(1963)が一時11.6%安となりました。第3四半期に損失を計上したタイの化学案件において配管材料調達コストやリスク対応費用を追加で見込む必要が生じたことなどから160億円の黒字とみていた2024年3月期の営業損益を190億円の赤字に下方修正したことで売りが膨らみました。

本決算を発表した東武鉄道(9001)も一時5.1%安となり年初来安値を更新しました。賃金や物価の上昇を背景に人件費や委託費などの負担が重くなることなどから2025年3月期の営業利益が前期比で16.1%減となる見通しを示したことで大幅安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は131円安となりました。1-3月期の米雇用コスト指数が市場予想を上回る伸びとなったことで賃金インフレを警戒した売りが出て昨日の米国市場が下落となったことから反落となりました。

一時は370円近く下げる場面もありましたが、節目の38,000円を前に下げ渋ると持ち直し75日移動平均線(38,273円)をわずかに上回って取引を終えました。そのため75日移動平均線がサポートとして意識されそうです。

なお、日本時間の21時15分に4月のADP全米雇用リポートが発表されるほか、23時には4月の米ISM製造業景況感指数と3月の米雇用動態調査(JOLTS)が発表される予定です。

また、2日午前3時には米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が発表されます。金融政策の据え置きは確実視されていることから、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見での発言に注目が集まりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)