私はこれから10年後、20年後の世界がどうなっていくのか非常に興味を持っています。色々な国の将来がどうなっていくのかを考えるにあたっては、まず現状を知ることが大切だと思っていますので、できるだけ多くの国を自分の目で見てみる努力をしています。そうすることにより、日本に住んでいると見えない日本の将来について、違う視点での将来像が見えてくることがあるのです。これまで世界81カ国を訪問してきたのですが、2024年3月のアフリカへの旅は、人口およそ4700万人のウガンダを訪問しました。

初めて訪れた首都カンパラでは、観光名所のほかに証券取引所も訪れました。私は新しい国に行くときは証券取引所がある国に行くようにしているのですが、これは私が社会人になってからこれまで証券会社でずっと外国株関係の仕事を行ってきたため、ついつい新しい国に行くとその国にまず株式市場があるか気になり、プライベートの旅であってもできるだけ証券取引所やその国の上場企業に会うことにしているのです。

カンパラの街の中を歩くと、ウガンダの人々の生活が見えてきます。それはそれで貴重な経験ではあるのですが、国を代表する企業のトップの方からお話を伺うと、その国の将来を考えるヒントを得ることができます。ウガンダには1998年に設立されたウガンダ証券取引所があり現在11のウガンダ企業が取引されています。市場の時価総額は1兆円もなく、私はウガンダ証券取引所に上場しているUMEMという電力会社とMTNというウガンダの通信会社を訪問し、マネジメントの方からお話を聞くことができました。

人口も長期に渡り増えることが予想され、経済成長率も5%を超える勢いのウガンダのような国においては、実は株式投資はそれほど難しくありません。正確に言うと、上場企業の数が少ない銘柄選択でそれほど悩まないのです。また、多くのフロンティアマーケットにおいては革新的な新しいテクノロジーを開発するIT企業などはまずありませんので、そんな銘柄選択で悩む必要はありません。

では、そんなフロンティアマーケットでは、どういった会社が上場しているかと言うと、銀行や通信、電力といった業界の企業が上場しており、そういった会社に投資をすることで、その国の経済成長に追随できるポートフォリオができるのです。日本ではもはや電力会社は成長企業ではありませんがウガンダのような国では電力会社は成長企業となるのです。フロンティアマーケットにおける電力会社の位置付けというのは、まさに60年代や70年代の日本の東京電力に投資をするようなものです。

人口が減っていく日本と違い、今後人口が増えていくと予想されているウガンダでは、色々な業界で新規顧客数が増えていくことは間違いありません。携帯電話の会社であればユーザー数はこれから増えていくでしょう。もちろん業界内での競争はあるものの日本のような先進国と比べ成長がしやすいはずです。

現在日本ではインドやベトナム、そしてインドネシアのようなポストチャイナの新興国への投資に興味を持っている個人投資家の皆さんが増えています。私が初めてインドやベトナムと言った国々の株式市場を訪れたのは今から15年以上前のことです。当時と比べるとそれらの国は大きく変わりその進化は目まぐるしいものがあります。また、これまで例えばベトナム株投資が流行るといった一時的なブームはあったのですが長期的な資産形成を目的とした新興国株の投資信託に投資をする流れが起きているのは初めてのことではないかと思います。

しかしながら日本でアフリカ大陸の株式市場全体に投資をする投資信託というのは私の知る限り存在していません。果たしてジャパンマネーがアフリカの株式市場に流れるまでに10年かかるのか、20年かかるのかはわかりませんが、将来ラストフロンティアと呼ばれているアフリカの国々への日本からの投資ブームが起きた時、果たして私が今知っているアフリカの国々はどんな状況になっているのか大変興味があり、ぜひ見届けてみたいなと考えています。