34年ぶりの円安水準だが介入タイミングは難しい
乱高下を伴いながら円相場の急落が加速している。29日の外国為替市場で円相場は対ドルでは34年ぶりに一時1ドル=160円台をつけ、対ユーロでは最安値となった。その後は急速に円が買い戻されるなど荒い値動きとなった。
ここまで急速に円安が進むと株式市場にもマイナスの影響が出る。介入警戒感が高まっているのは以前からではあるものの、ただでさえゴールデンウイークの狭間とあって動きにくいことに加え、スケジュール的にもドル高の材料が出そうな重要イベント ‐ すなわち、米連邦公開市場委員会(FOMC)と米雇用統計を控えており、その前後の介入は躊躇われるところだろう。市場の一部に介入が実施されたとの観測もあるが、これらを考えると信ぴょう性は定かではない。
急ピッチの円安には対応せざるを得ないが、介入タイミングが非常に難しい。その不透明感が株式市場にとっても重石となっている。
米雇用統計を控えて様子見が優勢になる中、投機筋の売り仕掛けに注意
というわけでゴールデンウイークの狭間で3営業日しかない今週は、為替を横目でにらみながら神経質な展開が続こう。基本的に連休後半の初日に発表される米雇用統計を控えて様子見姿勢が優勢になるだろう。そうした市場参加者不在の隙を突いた投機筋の売り仕掛けに注意したい。波乱材料が多いだけに連休中のヘッジ売りも潜在的に出やすく想定を超える下落もあり得る。
連休明けは衆議院補欠選挙の結果に対する市場の反応に注目
そうしたなか連休明けの市場での注目は衆院補欠選挙の結果に対する市場の反応だ。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件発覚後初の国政選挙となった衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙が28日投開票された。唯一の与野党対決となった島根1区で自民党は破れ、候補者を擁立しなかった東京15区、長崎3区を含め自民は3補選「全敗」となった。通常なら「岸田おろし」が吹き荒れる状況だが、派閥が解消しているいま、すぐに政局が流動化する気配はない。しかし、この補欠選挙の勝利を、次期衆院選の追い風としたい立憲民主党は大型連休後に本格化する政治資金規正法改正を巡る与野党協議で主導権を握り、衆院解散・総選挙に追い込む戦略を描く。解散・総選挙のシナリオが株式市場でも急浮上してくるだろう。
予想レンジは3万7000円~3万8500円とする。