2024年4月26日(金)8:30発表
日本 東京都市部消費者物価指数
【1】結果:東京CPIの3指標全て市場予想を大きく下回る結果に
総合指数 +1.8%(+2.5%)
生鮮食品除く総合 +1.6%(+2.4%)
生鮮食品・エネルギー除く総合 +1.8%(+2.7%)
(前年比%、カッコ内はBloomberg集計による市場予想の中央値)
2024年4月の東京都市部の消費者物価指数(以下、東京CPI)は前年比の伸び率が大幅に鈍化し、2%を下回る結果となりました。今回、変動の大きい生鮮食品を含む総合指数においても2%を下回るという結果を受けて、市場では輸入価格の上昇による波及が現時点では見られていないと判断されています。
【2】内容・注目点:大きく鈍化も特殊要因である可能性が高い
東京CPIは、当月中に速報値が発表され、また全国のCPIに先行する指標として注目が集まります。今回の4月の結果は市場予想を大きく下回るうえ、日銀がターゲットとする2%も下回る結果でした。そのため、5月24日発表予定の全国CPIも低下する可能性が高いと考えられます。
しかし、中身を見るとマイナスに大きく寄与したのは教育に分類される「高等学校授業料」でした。寄与度にして、-0.48%ポイントであるため、大半がこの授業料によるところとわかります。指数の前年比は公立高校で-94.5%、私立高校では同-61.7%でした。これらは今年度から始まった東京都の高校授業料無償化施策によるため、全国CPIへの先行性は薄れると考えられます。
【3】所感:円安の進行と輸入物価の推移に注視
今回の東京CPIは食品価格の伸びの鈍化と高等学校授業料無償化が主な変化の主因でした。後者については、特殊要因として全国CPIへの波及は小さいと考えられますが、前者は直近の円安加速を受けて上昇基調変化していくものと考えられます。
輸入物価は2024年に入り前年比プラスに転換しています(直近2024年3月の値は+1.4%)。食料品についても同様に、2024年に入り上昇基調にあります。コストプッシュ型のインフレ懸念が再燃する場合、せっかく賃上げ機運が高まっているところに水を差す形になるでしょう。
今回の東京CPIは全国CPIの先行指標となる可能性は小さく、結果の水準感も2%を下回るため、利上げを後押しするものではないと思われます。一方で、円安による物価への影響度が大きいと判断され、その対応策として利上げを行うということも考えられるため、動向に注視する必要がありそうです。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太