日経平均は一段の安値模索となる展開も想定

今週の日経平均は先週の急落の反動で短期的に値を戻す場面もあるだろう。しかし、戻り待ちの売りに押されて上値は重い。中東情勢や米ハイテク大手決算などを見極めたいと多くの投資家が様子見姿勢をとるなか、市場の売買エネルギーも低下し、場合によっては一段の安値模索となる展開も想定される。

先週金曜日の急落は、中東情勢の不透明感の高まりを受けて投資家が一斉にポジションを落としに走った結果である。そうしたリスク管理の制約に基づく投げ売り局面ではファンダメンタルズもテクニカル的な節目も株価水準さえも関係ないので、オーバーシュート(行き過ぎること)が往々にしてある。しかも先週金曜日の東京時間では情報も限られ、冷静な分析が間に合わなかった面もあるので仕方がない。東京市場が引けた後、欧米市場の反応は限定的だった。今回の攻撃の規模は抑制的であったことから際限のない報復合戦に発展するという懸念がいったんは後退したからだ。

米国市場は明確な調整局面入り

こうしたことから週明けの東京株式市場は売られ過ぎの反動で反発して始まる可能性もある。しかし、買い戻し一巡後は徐々に様子見姿勢が強まるだろう。ストラテジーレポート(2024年4月19日付け『日本株 下値めどは見えず 静観が賢明』で書いた通り、日米の株式市場の地合いは悪化しており、一気に戻りを試すようなムードには程遠い。

実際に米国市場は明確な調整局面に入っている。先週金曜日の米国市場は、好決算を発表したアメリカン・エキスプレス[AXP]の上昇が寄与したダウ平均こそ211ドル高と続伸したが、S&P500は下落、ナスダック総合は2%あまりの大幅安となり、ともに2022年10月以来の6営業日続落を記録した。週間ではダウ平均がわずかながら3週ぶりにプラス圏で終了した一方、S&P500が3%超の下げで3週続落し、ナスダック総合は5%あまりも下げる4週続落となった。案の定、割高さが際立っていたハイテク株の下げがきつい。

今週は注目企業の決算発表が目白押し

今週のハイライトはそのハイテク大手の決算発表だ。24日はメタ・プラットフォームズ[META]、25日にアマゾン・ドットコム[AMZN]、アルファベット[GOOGL]、インテル[INTC]、マイクロソフト[MSFT]などが決算を発表する。米国では他にも23日にゼネラル・モーターズ[GM]、ビザ[V]、テスラ[TSLA]、24日にボーイング[BA]、AT&T[T]、IBM[IBM]、25日にキャタピラー[CAT]、アストラゼネカ[AZN]、26日にシェブロン[CVX]、エクソン・モービル[XOM]など主要企業の決算発表が目白押しだ。

国内でも決算発表が始まる。23日にはニデック(6594)、24日にはキヤノン(7751)、ファナック(6954)、25日にはキーエンス(6861)、信越化学(4063)、第一三共(4568)、ディスコ(6146)、ルネサス(6723)、アステラス製薬(4503)、26日には日立(6501)、デンソー(6902)、OLC(4661)、村田製作所(6981)、アドバンテスト(6857)、コマツ(6301)、NEC(6701)、京セラ(6971)、ANA(9202)、エムスリー(2413)など早くも序盤戦から注目企業の決算が続く。

これらの決算が良好で中東情勢が落ち着きを見せれば、いったんは底入れの兆しが見えてくるだろう。今週はそれを確認する週となる。

予想レンジは3万6000円~3万8000円とする。